「抑うつ状態」と病院で診断されたらどうなる?治療の流れと内容について

「抑うつ状態」と病院で診断された場合、基本的には「休養」「精神療法」「薬物療法」の3つを柱とした治療が提案されることが一般的です。

医師はまず、あなたの現在の症状、生活状況、過去の経験などを詳しく問診し、診断を確定します。その上で、あなたの状態に合わせて治療計画を立てていきます。

ここでは、一般的な治療の流れと内容についてご説明します。

1. 休養

最も重要で基本的な治療です。抑うつ状態は、心と体がエネルギー切れを起こしている状態なので、まずは無理をせず、十分に休むことが最優先となります。

  • 物理的な休養: 睡眠時間を十分に確保する、仕事や学校を休む(休職・休学)、家事や人間関係の負担を減らすなど。
  • 精神的な休養: 完璧主義を手放す、好きなことやリラックスできる時間を意識的に作るなど。

2. 薬物療法

抑うつ状態の脳のバランスを整えるために、薬が処方されることが多いです。これは、心の健康を取り戻すための土台作りの役割を果たします。

  • 主な薬: 「抗うつ薬」が中心となります。脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスを整えることで、気分の落ち込みや意欲低下といった症状を和らげます。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRIなどが代表的です。
  • 注意点:
    • 効果が出るまでに2週間〜1ヶ月程度かかることが多く、すぐに効果を実感できないこともあります。
    • 吐き気や眠気などの副作用が出ることがありますが、多くは一時的なものです。気になる場合は医師に相談すれば、薬の種類や量を調整してもらえます。
    • 症状が良くなったからといって、自己判断で服薬を中断しないことが非常に重要です。再発を防ぐためにも、医師の指示に従って服用を続ける必要があります。

3. 精神療法(カウンセリング)

薬物療法と並行して、心の状態を改善していくための精神療法が行われることもあります。

  • 認知行動療法(CBT): 自分の考え方や行動のパターン(認知の歪み)に気づき、より現実的で柔軟な考え方を身につけていく療法です。「自分は何をやってもダメだ」といった否定的な思考を客観的に捉え、少しずつ修正していきます。
  • 支持的精神療法: 医師やカウンセラーがあなたの話に耳を傾け、共感し、心の支えとなることで、自己肯定感を高めていく療法です。

治療の進め方

治療は短期間で終わるものではなく、数ヶ月から年単位で進められるのが一般的です。

  1. 急性期: 症状を和らげ、休養を最優先します。
  2. 回復期: 症状が安定し、少しずつ活動量を増やしていきます。
  3. 維持期: 症状が安定した後も再発を防ぐために、服薬やカウンセリングを続けます。

ご自身の状態や治療方針について、不安な点や疑問に思うことがあれば、遠慮せずに担当の医師に質問することが大切です。治療は医師と患者が二人三脚で進めていくものです。