「無断の秘密録音」は違法か? 日本の法的結論と最高裁判例、「削除しろ」への正しい対応

パワハラや不倫、労働トラブルなど、いざという時の強力な証拠となるのが「秘密の録音」です。しかし、「相手に無断で録音するのは違法ではないのか?」「裁判で証拠として使えるのか?」という疑問は常に残ります。

2025年現在、日本における法的結論は明確です。結論から言えば、会話の当事者が行う無断録音は、原則として完全に適法であり、刑事罰の対象にはなりません。 最高裁もこの立場を一貫して支持しています。また、録音した証拠は、民事・刑事・労使のいかなる紛争においてもほぼ100%の確率で証拠として採用されます。

日本における「相手に無断の秘密録音」の法的ルールまとめ

項目結論根拠・ポイント
録音すること自体は違法か?違法ではない(原則自由)刑法に該当する犯罪なし。最高裁も「会話の当事者が会話を録音することは違法ではない」と明言(最判平成13年12月18日など多数)
相手に無断でもOK?無断で完全にOK黙って録音しても「正当な理由」があれば問題なし。自分の権利を守るため・証拠保全のためならほぼ100%正当
第三者がこっそり録音したら?ケースバイケース(違法になる可能性あり)会話の当事者ではない第三者が盗聴器等で録音すると電波法違反・有線電気通信法違反になる場合あり
録音したものを裁判の証拠に出せる?出せる(ほぼ100%有効)民事・刑事・労使紛争いずれでも「違法収集証拠」には当たらないと判断されている
録音をネットに公開・拡散したら?ケースバイケース名誉毀損・プライバシー侵害で訴えられる可能性あり。録音自体はOKでも公開行為が別問題
会社が「録音禁止」と就業規則に書いてあったら?録音自体は禁止できない就業規則で禁止しても私人間の契約に過ぎず、刑事責任は問えない。懲戒事由にはなり得るが「録音=違法」にはならない
相手に「録音してるよ」と事前に言った方がいい?言わなくてもいいが、言った方が実務上安全言ってしまうと相手が口を閉ざすリスクはあるが、逆に「録音を録音します」と宣言すると後で「同意があった」と主張されにくくなる
相手が「録音するな」「削除しろ」と言ってきたら?拒否できる(削除強要には法的根拠なし)国分太一さんのケースと同じ。削除を強要されても応じる義務はない
例外的に違法になるケース① 性的な部位を盗撮しながら録音 ② 盗聴器をしかけて第三者が録音 ③ 脅迫・恐喝目的で録音して金銭を要求これらは録音自体ではなく別の犯罪が成立

実務でよく言われる「鉄則」3つ

  1. 会話の当事者なら無断録音はほぼ100%セーフ 
  2. 録音データを後で「削除しろ」と言われても削除義務はない 
  3. 裁判になったらほぼ確実に証拠として採用される

民事上の責任に注意

秘密録音自体は違法でなくても、その後の行為が問題になります。

  • 絶対にしてはいけないこと(違法となるリスクが高い行為)
    • インターネットやSNSでの公開:話した人や企業が特定できる場合、名誉毀損罪(刑法第230条)やプライバシーの侵害(民法上の不法行為)に該当し、損害賠償を請求される可能性があります。
    • 録音内容を悪用した脅迫:刑法上の脅迫罪などに該当する可能性があります。
  • 正しい対応
    • 「証拠として自己の権利を守るために保管する」と伝えるに留め、不用意に第三者へ開示・漏洩しないことが重要です。

最近の有名事例(参考)

  • 国分太一さん(2025)→ 日テレ側が録音削除を求めたが法的根拠なし 
  • ガーシー元議員事件 → 脅迫目的の録音+公開で有罪(録音自体は無罪) 
  • 数々のパワハラ訴訟 → 被害者がこっそり録音した音声が決め手になって勝訴

まとめ

日本では「自分が会話している場面をこっそり録音する」のはほぼ完全に自由です。
「録音するな」「消せ」と言われても無視してOKです(懲戒リスクがある職場では注意が必要ですが)。

状況法的結論対応の注意点
秘密録音(当事者)原則、違法ではない(犯罪ではない)。録音は証拠として有効な可能性が高い。
証拠能力(裁判)著しく反社会的な手段でなければ原則認められるハラスメント等の立証には不可欠な手段。
「削除しろ」要求応じる法的義務はない。証拠として厳重に保管すべき。削除してしまうと権利の証明が困難になる。
悪用(SNS公開など)名誉毀損やプライバシー侵害で違法となるリスク大。目的外使用は絶対に避ける。