【太陽光発電の利益】電気代高騰時代に必須!「総経済効果」と初期投資回収戦略

かつての高値売電(42円/kWh)の時代が終わり、FIT買取価格が16円/kWh前後の水準となった今、「太陽光発電で利益は出ない」という誤解が広がっています。

しかし、現在の太陽光発電の最大の経済的価値は、売電収入ではなく、「電力会社から購入する高い電気代(30円/kWh)の支払いを回避できる自家消費の節約効果」にあります。

一般的な4.5kWシステムを例に、年間の売電収入(約5.5万円)と、見過ごされがちな自家消費による節約額(約4.5万円)を明確に試算し、年間約10万円の総経済効果を導き出します。この総経済効果を最大化し、いかにして初期投資を回収し、回収後20年以上にわたる純粋な利益(電気代ゼロ生活)を実現するか、その具体的な利益構造と戦略を解説します。


1. 年間売電収入の目安(FIT価格:16円/kWhの場合)

年間売電収入は、以下の計算式で求められます。

年間売電収入=システム容量(kW)×年間発電量(kWh/kW)×売電比率×売電価格(16円/kWh)

ここでは、一般的な家庭用太陽光発電のデータを用いて試算します。

項目目安となる数値
システム容量(P)4.5kW(一般的な住宅の平均的な設置容量)
1kWあたりの年間発電量1,100kWh/kW(全国平均を目安とした保守的な数値)
年間総発電量4.5kW×1,100kWh/kW=4,950kWh
売電比率70%(自家消費30%として、余剰電力を売電する比率)
売電量4,950kWh×0.70≈3,465kWh
FIT売電価格16円/kWh

年間売電収入=3,465kWh×16円/kWh≈55,440円

年間売電収入

4.5kWのシステムを導入した場合、FIT価格16円/kWhでの年間売電収入約5.5万円程度が目安となります。

2. 「利益」を考える際の重要な視点

ただし、この5.5万円はあくまで「収入」であり、「利益」ではありません。太陽光発電で本当に得るべき経済的な利益は、売電収入よりも「電気代の節約額(自家消費効果)」の方が大きくなります。

A. 自家消費による節約額(隠れた利益)

発電した電気を売らずに自宅で使った場合(自家消費)の経済効果を計算します。

項目目安となる数値
自家消費比率30%
自家消費量4,950kWh×0.30≈1,485kWh
購入電気料金30円/kWh(現在の一般的な買電単価)

年間節約額=1,485kWh×30円/kWh≈44,550円

年間節約額

自家消費による年間節約額約4.5万円程度になります。

B. 年間の総経済効果

年間総経済効果は、売電収入と自家消費による節約額の合計となります。

総経済効果=売電収入+自家消費による節約額

総経済効果=55,440円+44,550円=99,990円

この約10万円の総経済効果から、設備導入にかかった初期費用、および維持管理費(ローン金利、メンテナンス費など)を差し引いたものが、本当の「利益」となります。

3. FIT制度の利益の考え方

FIT制度の期間中(10年間)は、この年間約10万円の経済効果が、初期投資の回収に充てられます。

  • 初期投資回収後: 設置費用を回収した後(一般的に7年~15年程度)、その後も発電を続ける期間(20年以上)は、この総経済効果のほとんどが純粋な利益となります。

現在では、「16円/kWhで売る」ことよりも、「30円/kWhで買わずに済む」ことの方が、太陽光発電の最大の利益源となっていることを理解することが重要です。