
虫垂炎(ちゅうすいえん)と盲腸(もうちょう)についてのわかりやすい説明です。医学的な基本知識を基にまとめています。
1. 盲腸(もうちょう)とは?
- 場所:大腸の始まり部分(右下腹部)。小腸と大腸のつなぎ目にある。
- 形:袋状の構造で、そこから細長い**虫垂(ちゅうす)**が突き出ている。
- 役割:昔は「役に立たない器官(痕跡器官)」とされていたが、最近の研究では免疫機能(リンパ組織が豊富で、腸内細菌のバランスを保つ役割がある可能性)があると考えられている。
2. 虫垂炎(ちゅうすいえん)とは?
- 正式名称:急性虫垂炎
- 原因:虫垂の内部が詰まる → 細菌が繁殖 → 炎症が起こる
- 詰まる原因:便の塊(糞石)、リンパ組織の腫れ、異物など
- 俗称:日本では「盲腸」と呼ばれることが多いが、正確には虫垂の炎症です。
3. 主な症状(進行順)
| 段階 | 症状 |
|---|---|
| 初期 | ・おへそ周辺の鈍い痛み(内臓痛) ・食欲不振、吐き気 |
| 中期 | ・痛みが右下腹部に移動(体性痛) ・押すと痛い(圧痛)、離すと激痛(反跳痛) |
| 進行 | ・発熱(38℃前後) ・嘔吐、白血球増加 |
| 合併症 | ・穿孔(穴が開く) → 腹膜炎 → 命に関わる |
ポイント:痛みの移動(おへそ → 右下腹)が特徴的!
4. 診断方法
- 身体診察(マクバーニー点の圧痛)
- 血液検査(白血球↑、CRP↑)
- 画像検査(超音波 or CT)← 最も確実
5. 治療
| 状態 | 治療法 |
|---|---|
| 軽症~中等症 | 抗生物質 + 絶食 |
| 中等症~重症 | 手術(虫垂切除術) ・開腹手術 ・腹腔鏡手術(傷が小さく回復が早い) |
| 穿孔・腹膜炎 | 緊急手術 + 抗生物質 |
昔は「とにかく切る」が主流だったが、最近は軽症なら抗生物質だけで治るケースも増えている。
6. よくある誤解
| 誤解 | 正しい知識 |
|---|---|
| 「盲腸を切ると免疫が落ちる」 | 影響はほぼなし。虫垂はあくまで補助的な器官 |
| 「虫垂炎は誰でもなる」 | 10~30歳に多いが、子供や高齢者も発症 |
| 「我慢すれば治る」 | 穿孔のリスクあり。早めの受診が重要 |
7. 受診の目安(すぐに病院へ!)
- 右下腹部がどんどん痛くなる
- 歩けないほどの痛み
- 発熱+嘔吐
- お腹が板のように硬い
まとめ
- 盲腸 = 大腸の始まり部分
- 虫垂炎 = 虫垂が炎症を起こす病気(俗に「盲腸」と呼ばれる)
- 特徴 = 痛みの移動(おへそ → 右下腹)
- 治療 = 軽症なら薬、重症なら手術
- 早期発見が命を救う!
何か具体的な症状がある場合は、すぐに外科を受診してください。自己判断は危険です。

