いぼ痔(痔核)の手術費用はいくら? ALTA(注射)と結紮切除術の自己負担額(3割/1割)を徹底比較

いぼ痔の治療は、症状の重症度(Goligher分類Ⅰ〜Ⅳ度)や患者さんの状態によって異なります。基本は生活習慣改善や薬物療法ですが、重症(主にⅢ〜Ⅳ度)でこれらが効果不十分な場合に手術・処置療法を選択します。手術の約25%の患者さんが対象で、多くは保険適用です。以下に主な治療法をまとめます。

主な治療法の概要

治療法内容適応利点欠点
保存療法(生活改善・薬)食物繊維・水分摂取増加、温水洗浄、坐薬・軟膏(ステロイド・局所麻酔薬)、便秘薬Ⅰ〜Ⅱ度、軽症非侵襲的、即日開始可能再発リスクあり、重症では不十分
ALTA療法(ジオン注射)硬化剤(ジオン)を痔核に注射し、血流を止めて縮小・固定Ⅲ〜Ⅳ度、内痔核主体切らない、日帰り、痛み少ない、再発率10%程度外痔核大の場合追加切除必要、初期無効例あり
結紮切除術痔核を結紮(縛る)して血流を止め、剥離・切除(開放/半閉鎖法)あらゆるタイプ・度合い、合併症合併時根治性高く、オールマイティ術後痛み・出血リスク、傷跡残る
PPH法(吻合器法)痔核上部の粘膜を切除・吻合し、痔核を吊り上げ内痔核主体、脱出型痛み少なく、早期復帰外痔核大や合併症に不向き、再発可能性
併用療法(ALTA+結紮切除)上記を組み合わせ(例: 内痔核にALTA、外に切除)複雑な内外痔核低侵襲+高根治性、痛み軽減施設依存

※選択は医師の判断。日帰り可能な施設が増え、超音波メス使用で痛み軽減が進んでいます。

入院期間

入院の必要性は治療法と施設・患者の状態(年齢、合併症)で異なります。従来の長期入院(2週間以上)は稀で、約60%が8日以内か日帰り。目安は以下の通り(日本大腸肛門病学会ガイドライン参考)。

治療法入院期間の目安備考
保存療法不要(外来)通院のみ
ALTA療法日帰り〜1泊2日注射後安静1日、翌日入浴可。施設により外来完結
結紮切除術7〜10日(基本)術後安静・止血観察のため。日帰り可能施設も増加中
PPH法5〜7日早期歩行・入浴可能
併用療法2〜3日〜7日傷小さいため短縮可能

※術後1週間は腫れ・痛みあり、治癒まで1ヶ月。出血リスクで延長の場合あり。日帰り手術は出血管理が鍵で、経験豊富な施設を選びましょう。

診療報酬・費用

日本では健康保険適用(2025年時点、令和6年度改定基準)。費用は自己負担割合(1割/2割/3割)で変動し、入院日数・薬剤・施設差で変わります。診療報酬は点数制(1点=10円)で算定。目安は3割負担の場合(高齢者等は低負担)。自由診療(レーザー等)は30万円以上かかる場合あり、保険外注意。

自己負担は「3割」「1割(高齢者等)」の2パターンで併記。
※実際は入院日数・薬剤・施設差で変動。高額療養費制度(月額上限あり)も活用可。


治療法別 費用・自己負担額 完全版

治療法主な診療報酬点数(例)3割負担1割負担備考
保存療法(外来のみ)初診200点+薬代100〜300点1,000〜5,000円/回300〜1,700円/回坐薬・軟膏・処方箋代含む。複数回通院
ALTA療法(ジオン注射)硬化療法1,500〜2,000点+麻酔等15,000〜25,000円(日帰り)5,000〜8,000円薬剤代含む。施設により5万円以内
結紮切除術(従来手術)根治術6,000〜9,000点+脊椎麻酔850点
└ 日帰り総7,000〜10,000点21,000〜30,000円7,000〜10,000円出血管理が鍵
└ 入院7〜10日+入院基本料(初日3,513点+1日2,353点×6〜9日) 総約22,000〜28,000点66,000〜84,000円22,000〜28,000円食事代別途(1食460円×日数)
PPH法(吻合器使用)特殊器械1,500〜3,000点+切除50,000〜80,000円(5〜7日入院)17,000〜27,000円器械代高め
併用療法(ALTA+結紮切除)例: 6,520点+入院(初日3,513点+2,353点×2〜4日)30,000〜70,000円10,000〜23,000円傷小さいため入院短縮

高額療養費制度(月額上限)※参考

年収区分月額上限(3割負担)
年収~370万円約80,100円
年収370〜770万円約90,000円
年収770万円〜約250,000円

→ 入院でも実質10万円以内に収まることが多いです(申請必要)。

※例: 結紮切除+ALTA(6,520点)+入院(3,513点初日+2,353点×4日)≈総額10万円前後(3割で3万円)。食事代・差額ベッド別。医療費控除対象。詳細は施設で確認を(厚生労働省基準)。