
胃潰瘍(いかいよう)とは、胃の内壁(粘膜)が傷つき、潰瘍(えぐれたような傷)ができた状態です。胃酸や消化酵素が粘膜を攻撃することで起こります。以下にわかりやすくまとめます。
1. 主な原因
- ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)感染:最も多い原因(約70-80%)。胃に炎症を起こし、潰瘍を作りやすくする。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):ロキソニン、イブプロフェン、アスピリンなどの痛み止め・解熱剤の長期使用。
- ストレス・生活習慣:過度のストレス、喫煙、過度な飲酒、刺激物の過食(辛いもの、コーヒーなど)。
- その他:胃酸過多、遺伝的要因、まれに胃がんとの関連。
2. 主な症状
- みぞおちの痛み(上腹部中央):空腹時や夜間に強くなることが多い(十二指腸潰瘍と区別)。
- 食後の吐き気、胸やけ、げっぷ。
- 食欲不振、体重減少。
- 重症化すると黒い便(タール便)や吐血(緊急)。
注意:症状がない「無症状潰瘍」も存在し、突然出血で発覚する場合も。
3. 診断方法
- 内視鏡検査(胃カメラ):潰瘍の位置・大きさ・出血の有無を直接確認。ピロリ菌検査も同時に可能。
- 血液・便・呼気検査:ピロリ菌の有無を調べる。
- X線造影検査:内視鏡が難しい場合に使用。
4. 治療法
(1) 薬物療法(通常8〜12週間)
- プロトンポンプ阻害薬(PPI):オメプラゾール、タケプロンなど。胃酸分泌を強力に抑える。
- ピロリ菌除菌療法:抗生物質2種+PPIの3剤併用(1週間)。成功率90%以上。
- 胃粘膜保護薬:潰瘍の治癒を助ける。
(2) 生活習慣の改善
- 禁煙・節酒。
- 刺激物(辛いもの、コーヒー、揚げ物)を控える。
- 規則正しい食事(少量頻回)。
(3) 手術(まれ)
- 出血・穿孔(胃に穴が開く)・閉塞などの合併症時。
5. 合併症(要注意)
- 出血:吐血・下血 → 貧血・ショック。
- 穿孔:胃に穴が開き、腹膜炎に。
- 幽門狭窄:潰瘍の瘢痕で食物が通りにくくなる。
- 胃がんリスク:ピロリ菌感染者は胃がんリスクが数倍に。
6. 予防法
- ピロリ菌検査・除菌(特に家族に潰瘍歴がある人)。
- 痛み止めの長期使用時は医師に相談(PPI併用で予防可)。
- ストレス管理、禁煙。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 原因1位 | ピロリ菌 |
| 症状の特徴 | 空腹時の上腹部痛 |
| 治療の鍵 | 胃酸抑制+ピロリ除菌 |
| 危険信号 | 黒い便・吐血 → 即受診 |
受診の目安:みぞおちの痛みが1週間以上続く、急に激しい痛み、吐血・黒い便が出たらすぐに消化器内科へ。
