「アバーブPEEP(Above PEEP)」は、人工呼吸器の設定に関連する用語で、PEEP(Positive End-Expiratory Pressure)の上に加わる圧力、つまりピーク圧のことを指す場合があります。具体的には、以下のような点が重要です。
1. PEEP(陽圧終末呼気圧)とは
PEEPは、呼気が終了した時点で肺に残る圧力を保持するための設定です。肺胞が完全に閉塞するのを防ぎ、ガス交換を効率化する役割を果たします。呼吸器疾患やARDS(急性呼吸窮迫症候群)などの場合にPEEPは重要な役割を持ちます。
2. アバーブPEEPの役割
アバーブPEEPという概念は、PEEPによって維持される基礎圧の上に設定される追加の圧力を指します。これは「PIP(ピークインスピラトリープレッシャー)」や「Driving Pressure(駆動圧)」とも関連し、患者が吸気中に受ける最高圧力に影響を与えます。アバーブPEEPの管理は、特に以下のような状況で重要です。
- 機械換気での圧力管理(肺保護戦略)
- ARDS患者における低体積換気戦略
- 呼吸器合併症を避けるための過度なピーク圧の制御
3. 人工呼吸器におけるアバーブPEEP設定のメリット
- ガス交換の効率化: PEEPの上に適切な圧力を加えることで、酸素化が促進されます。
- 肺胞の再開通: アバーブPEEPによって、十分な圧力が維持されることで、肺胞が再開通しやすくなります。
4. 設定時の注意点
- 過度の圧力をかけると、肺組織に損傷を与えるリスク(気胸や過膨張)があるため、適切なモニタリングが重要です。
- ドライビングプレッシャー(吸気と呼気の圧力差)を調整しながら、PEEPとアバーブPEEPを適切に設定します。
人工呼吸器の設定は、患者の病態や肺の状態に合わせて調整が必要です。適切な圧力設定により、患者に対する呼吸負担の軽減と治療効果が期待できます。