
現在のガイドラインでは、過去のような「特定の機種が狙い目」といった情報や、射幸心を強く煽る内容は大幅に制限されています。
これまでの「取材記事」と現在(2025年7月1日以降)の違い
以前のパチンコ・パチスロ業界の「取材記事」やイベント告知には、以下のような特徴が見られました。
- 「公約」や「示唆」: 「全台系」「〇〇に高設定」といった、出玉や設定に関する「公約」や「示唆」を匂わせる表現。
- 出玉データやグラフの強調: 特定の台の好調な出玉データやグラフを大々的に掲載し、期待感を煽る。
- 「勝ちやすい日」「狙い目」の示唆: 特定のイベント日やライター来店日を「勝ちやすい日」として強調する。
しかし、2025年7月1日から適用される新ガイドラインでは、これらの表現や情報は厳しく規制されます。
顧客が現在得られる情報と以前との比較
項目 | 以前(規制前)の取材記事や告知で得られた可能性のある情報 | 現在(新ガイドライン適用後)の取材や告知で得られる情報 |
出玉・設定 | – 特定の機種や日付での高設定示唆 – 「大勝ち」を匂わせる出玉データやグラフ | – 出玉や設定に関する直接的な示唆は不可 – メーカー公表スペックなどの一般的な情報のみ |
イベント | – 「公約」を伴うイベントの事前告知 – 特定機種の時差開店告知 | – 公約系イベントの事前告知は禁止 – 時差開店は全台・全体対象のみ(一部例外あり) |
取材内容 | – 出玉に焦点を当てた取材内容 – 特定機種の好調を強調する表現 | – 店舗の環境やサービス、来店した事実の報告が中心 – 射幸心を煽らない客観的な情報に限定 |
ライター | – ライターによる**「高設定示唆」や「公約達成」**のようなSNS発信 | – ライターの来店事実の告知は可能だが、出玉示唆は厳禁 – 個人の遊技結果や感想の共有は許容範囲だが、**「公約」めいた発言は禁止** |
取材記事における主な規制ポイント
- 出玉や設定に関する直接的・間接的な示唆の禁止:
- 「出玉が多い」「好調台」「高設定」といった表現は、明確に禁止されます。 これは、文言だけでなく、写真やグラフなどの視覚的な情報においても同様です。
- 特定の機種について、「この台は特に粘る価値がある」「昨日は爆裂していた」といった、出玉性能を連想させるような具体的な記述も避けなければなりません。
- 「コンプリート機能(特定の出玉に達すると打ち止めになる機能)を搭載した台の一覧掲載」も禁止されます。
- 「公約」や「約束」を匂わせる表現の禁止:
- 取材者が「必ず出す」「この機種が狙い目」といった、実態のない約束や公約を示唆するような記事内容は禁止されます。これは、取材者のSNS投稿や動画コンテンツにも適用されます。
- 取材の目的と内容の明確化:
- 取材記事の目的は、出玉を煽ることではなく、店舗の環境、サービス、遊技の楽しさなど、健全な側面に焦点を当てることが求められます。
- 取材当日に、来店者が実際に遊技した結果を「客観的に紹介する」ことは許容されますが、それが「高設定を示唆する」「特定の台を推奨する」内容であってはなりません。例えば、「本日の実戦で〇〇枚獲得しました」という事実の記載は可能でも、それが「この機種は出やすい」という結論に繋がるような書き方はNGです。
- 取材の客観性と実地性:
- 「取材済み」と表示する場合、電話やメールのみのやり取りでは認められず、実際に取材スタッフが店舗に来店し、現地で取材を行った場合のみ使用できます。これにより、記事の信憑性を高める狙いがあります。
YouTube動画・配信における具体的な規制のポイント
- 出玉を示唆する写真・グラフ・映像の禁止:
- 具体的な出玉枚数や獲得金額を誇張して見せる写真や映像: 例えば、ドル箱が山積みになっている写真、大勝ちした出玉画面のクローズアップ、具体的な収支グラフで大きくプラスになっていることを強調するなども規制対象です。
- 特定の機種の出玉性能が優れているかのように示唆するグラフやデータ: 例えば、「この機種は他の機種より出やすい」「この設定なら必ずこれだけ出る」といった印象を与えるデータ表示は禁止されます。
- 「万枚達成!」「爆裂!」といった射幸心を煽るテロップやナレーション: 映像内にこれらを含めることも規制の対象となります。
- 「公約」や「示唆」の禁止:
- 来店したライターが、「今日は〇〇台が狙い目」「この店は必ず設定〇を使う」といった、出玉や設定に関する「公約」や「示唆」を匂わせる発言や映像は禁止されます。これは、視聴者に特定の台への期待感を過度に抱かせ、射幸心を煽る行為と見なされるためです。
- たとえ「個人の感想です」と断り書きがあっても、実質的に公約を連想させるような内容であれば規制対象となり得ます。
- 取材の公正性の確保:
- 「取材済み」を謳う動画の場合、実際に店舗に赴き、ルールに則った取材が行われている必要があります。電話やメールのみのやり取りでの「取材」は認められません。
なぜYouTubeなども規制対象になるのか?
- 影響力の大きさ: YouTubeやSNSは、若年層を含む広範な層に影響力を持つため、ここでの不適切な広告宣伝は、ギャンブル依存症のリスクを高める要因になると考えられています。
- ステルスマーケティングの排除: パチンコ店側が直接広告を出さなくても、ライターやインフルエンサーを介して実質的な広告宣伝を行う「ステルスマーケティング」を防ぐ目的もあります。
ライターは何を配信できるのか?
- 純粋な遊技の楽しさの共有: 遊技機の演出の面白さ、ゲーム性、個人的な感想(ただし出玉に直結しない範囲で)などは配信できる可能性があります。
- 店舗の雰囲気やサービス紹介: 店舗の設備、清潔さ、スタッフの対応など、健全な遊技環境に関する情報。
- 一般的な機種解説: メーカーが公表しているスペックや基本的な遊技方法の紹介など。
結論
したがって「かつてのような、出玉や設定に関する具体的な示唆は、新しい告知では得られない」という意味合いで捉えるのが適切です。
顧客としては、取材記事を読んで「今日は〇〇が熱い」といった具体的な情報を期待することはできなくなります。 取材記事は、店舗の雰囲気やサービス、ライターの個人的な遊技体験(ただし、出玉を強調しない範囲で)などを伝えるものに変化していくでしょう。
YouTubeなどの動画プラットフォームも、パチンコ店の広告宣伝規制の対象に含まれるため、写真やグラフを使って出玉が多い機種を強調するようなコンテンツは、原則として禁止されると考えられます。 ライターや動画制作者は、ガイドラインの精神を理解し、射幸心を煽らないコンテンツ制作に努める必要があります。
新ガイドラインの目的は、顧客がより健全で透明性の高い情報に基づいて遊技を楽しめる環境を整えることです。そのため、来店型取材や告知は、射幸心を煽る情報から、店舗の環境やサービス、公平な情報提供へとその内容が変化します。
顧客としては、過去の「当たりやすい情報」を探すのではなく、現在のルールに基づいた「信頼できる情報」を見極める視点を持つことが重要になります。