ラガーとエールの違いは、主に使用する酵母の種類と発酵方法にあります。これにより、味わいや製造プロセスにも違いが生じます。以下に、ラガーとエールの主要な違いを詳しく説明します。
ラガー
発酵酵母:
- ラガー酵母 (Saccharomyces pastorianus) を使用。
- 底部発酵酵母とも呼ばれ、発酵中にタンクの底に沈む。
発酵温度:
- 低温で発酵(7~13°C)。
- 発酵期間はエールよりも長めで、通常数週間から数ヶ月。
熟成:
- 発酵後、さらに低温で長期間熟成(ラガリング)させる。
味わい:
- クリーンでクリスプな味わい。
- フレーバーは控えめで、ホップやモルトのバランスが良い。
- 軽やかで爽やかな飲み口。
代表的なスタイル:
- ピルスナー
- ヘレス
- デュンケル
- シュヴァルツビア
- ボック
エール
発酵酵母:
- エール酵母 (Saccharomyces cerevisiae) を使用。
- 上部発酵酵母とも呼ばれ、発酵中にタンクの上部に浮かぶ。
発酵温度:
- 高温で発酵(15~24°C)。
- 発酵期間はラガーよりも短く、通常数日から数週間。
熟成:
- 短期間での熟成が一般的。
味わい:
- フルーティーで豊かなアロマ。
- フレーバーが強く、ホップやモルトのキャラクターが際立つ。
- 幅広いスタイルがあり、多様な風味を楽しめる。
代表的なスタイル:
- ペールエール
- IPA(インディア・ペール・エール)
- スタウト
- ポーター
- ヴァイツェン(ヘーフェヴァイツェン)
比較まとめ
特徴 | ラガー | エール |
---|---|---|
酵母 | 底部発酵酵母(ラガー酵母) | 上部発酵酵母(エール酵母) |
発酵温度 | 低温(7~13°C) | 高温(15~24°C) |
発酵時間 | 長期間(数週間から数ヶ月) | 短期間(数日から数週間) |
熟成方法 | 低温で長期間熟成 | 短期間での熟成 |
味わい | クリーンでクリスプ、控えめなフレーバー | フルーティーで豊かなアロマ、強いフレーバー |
代表的なスタイル | ピルスナー、ヘレス、デュンケル、ボック | ペールエール、IPA、スタウト、ポーター |
補足
- ラガーは冷蔵技術の発展により、19世紀以降広まったスタイルで、特に夏場でも安定した品質を保つことができるため人気が高まりました。
- エールは歴史的には古くから存在し、多様なスタイルがあり、地域ごとに特色あるビールが作られてきました。
ラガーとエールはこれらの違いにより、それぞれ独特の風味と飲み心地を提供します。ビールの選択肢が広がることで、飲む楽しみも増しますね。
日本では市販のビールのほとんどがラガーになっています。
クラフトビール(地ビール)は小規模でも作ることができるので工芸品という意味でのクラフトという言葉で呼ばれています。
地方で機会があれば是非、普段飲むことの多いラガー以外にもエールビールを試してみて下さい。