
ファイナンシャルプランナー(FP)は、個人の資産運用やライフプランに関するアドバイスを行う専門家です。その資格には、国家資格であるFP技能士と、民間資格であるAFP、CFP®があります。
FP資格の種類
大きく分けて以下の3種類があります。
- FP技能士(1級、2級、3級):
- 国家資格です。
- 日本FP協会ときんざい(一般社団法人金融財政事情研究会)の2つの機関が試験を実施しています。どちらの機関で受験しても、合格すれば同じFP技能士の資格が取得できます。
- 3級が最も基礎的な内容で、1級が最も高度な内容です。
- 各級で学科試験と実技試験があります。
- AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー):
- 民間資格で、日本FP協会が認定しています。
- 2級FP技能士に合格し、日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了することで取得できます。
- 2年ごとの資格更新が必要で、継続的な学習(継続教育)が義務付けられています。
- CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®):
- 民間資格で、日本FP協会が認定する国際的なライセンスです。世界24カ国・地域で導入されています。
- AFP認定者であることが受験資格の一つで、6課目の試験に合格し、一定の実務経験などを満たすことで取得できます。
- こちらも2年ごとの資格更新が必要です。
試験内容と難易度・合格率
FP資格で問われる知識は、以下の6つの分野に分けられます。
- ライフプランニングと資金計画
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- リスク管理(保険)
- 不動産
- 相続・事業承継
難易度と合格率の目安
資格 | 難易度(目安) | 合格率(目安) | 備考 |
FP技能士3級 | 比較的易しい | 日本FP協会:学科 約70~90%、実技 約80~90% きんざい:学科 約40~70%、実技 約40~60% | 初学者向け。日常生活でも役立つ基礎知識。 |
FP技能士2級 | 普通 | 日本FP協会:学科 約40~60%、実技 約50~70% きんざい:学科 約13~30%、実技 約30~50% | 専門家として実務に活かせるレベル。 |
AFP | FP技能士2級とほぼ同等 | FP技能士2級の合格とAFP認定研修の修了が必要 | 継続教育が義務付けられている。 |
FP技能士1級 | 非常に難しい | 学科 約7~18%、実技 約80~99% | FPの最高峰。実務経験が必須。 |
CFP® | 非常に難しい | 各課目 約8~10% | 国際的な最高位の資格。AFP認定者であることなどが必要。 |
※FP技能士の合格率は、受験機関(日本FP協会ときんざい)によって差があります。これは、実技試験の内容や出題形式の違いによるものです。
取得方法と受験資格
FP技能士3級
- 受験資格: 特になし。誰でも受験できます。
- 取得方法: 学科試験と実技試験の両方に合格。
FP技能士2級
以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- FP技能士3級の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
AFP資格
- 2級FP技能士に合格していること
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了し、提案書を提出すること
FP技能士1級
- 学科試験:
- 2級技能検定に合格し、かつFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
- FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
- 実技試験:
- 1級学科試験の合格者
- 日本FP協会のCFP®認定者
- 日本FP協会のCFP®資格審査試験の合格者 など
CFP®資格
- AFP認定者であること
- CFP®資格審査試験(6課目)に合格すること
- 一定の実務経験(3年以上)を有すること
- CFP®エントリー研修を修了すること
勉強時間の目安
- FP技能士3級: 80〜150時間
- FP技能士2級: 150〜300時間
- FP技能士1級・CFP®: 数百時間からそれ以上
これらの時間はあくまで目安であり、個人の学習スタイルや基礎知識の有無によって変動します。
FP資格を取得するメリット・デメリット
メリット
- お金に関する総合的な知識が身につく: ライフプラン、金融資産運用、税金、保険、不動産、相続など、個人のお金に関する幅広い知識を習得できます。
- 日常生活に役立つ: 自分自身の家計管理や資産形成に役立てることができます。
- 就職・転職に有利: 金融業界、保険業界、不動産業界などでの就職や転職に有利に働くことがあります。特に2級以上やAFP、CFP®は評価されます。
- キャリアアップ: 企業内で財務や福利厚生担当として活躍したり、独立してファイナンシャルプランナーとして活動したりすることも可能です。
- 他の資格との相乗効果: 税理士、社会保険労務士、宅建士などの他の資格と関連する分野が多く、相乗効果が期待できます。
デメリット・注意点
- 独占業務がない: 医師や弁護士のように、FP資格がなければできない独占業務はありません。そのため、資格がなくても「FP」と名乗ることは可能です。
- 専門性が低いと言われることも: 幅広い知識を扱うため、特定の分野に特化した専門家(例:税理士、弁護士)に比べて「専門性が低い」と見られることもあります。
- 継続的な学習が必要: AFPやCFP®は資格更新のために継続的な学習が義務付けられています。法改正などにも対応していく必要があります。
- 資格取得に費用がかかる: 受験料やテキスト代、通信講座を利用する場合はその費用がかかります。
まとめ
ファイナンシャルプランナーの資格は、個人の生活にも仕事にも役立つ汎用性の高い資格です。自身の目的やレベルに合わせて、適切な資格を選び、計画的に学習を進めることが重要です。まずはFP技能士3級から取得し、段階的に上位資格を目指すのが一般的です。