世界保健機関(WHO)データが示す世界を脅かす死因トップ10:虚血性心疾患が圧倒的1位、非伝染性疾患が7割を占める

2023年の世界保健機関(WHO)およびGlobal Burden of Disease (GBD) Studyの最新データは、世界の公衆衛生上の最重要課題を浮き彫りにしています。世界総死亡者数約6,000万人超のうち、虚血性心疾患(心筋梗塞など)が約900万人で圧倒的な1位を占め、脳卒中と合わせると総死亡の約4分の1に達します。注目すべきは、非伝染性疾患(NCDs)が上位7位を占め、高齢化と生活習慣の変化によりその割合が年々増加している点です。また、予期せぬ形で年間約600〜700万人を襲う「突然死」も、その80%以上が心血管疾患を原因としています。

世界の全体的な死因ランキング(2023年最新データ)

世界保健機関(WHO)とGlobal Burden of Disease (GBD) Study 2023のデータによると、2023年の世界総死亡者数は約6,000万人超で、非伝染性疾患(心血管疾患やがんなど)が主な原因です。GBD 2023では、COVID-19が2021年の1位から20位に低下し、伝統的な上位原因(虚血性心疾患、脳卒中)が復帰しています。以下は主な死因の上位10位(推定死亡者数と割合)で、年齢調整死亡率に基づくランキングです。

順位死因死亡者数(推定、万人)割合(%)詳細
1位虚血性心疾患(心筋梗塞など)約90016心臓への血流不足が主因。高血圧・喫煙がリスク。
2位脳卒中約65011脳血管の詰まりや破裂。高齢化で増加。
3位慢性閉塞性肺疾患(COPD)約3506喫煙や大気汚染が原因。呼吸器疾患の代表。
4位下気道感染症(肺炎など)約3005感染症の主な死因。発展途上国で顕著。
5位アルツハイマー病・認知症約2504高齢者中心。女性に多い(68%)。
6位糖尿病約2003.5生活習慣病。2000年から95%増加。
7位下気道疾患(気管支炎など)約1803感染と環境要因の複合。
8位腎臓病約1502.5高血圧・糖尿病が基盤。
9位肝疾患(肝硬変など)約1402.5アルコールやウイルス性肝炎。
10位肺がん約1302喫煙が主因。がん全体の約20%。

注記:

  • データはGBD 2023とWHOの2021-2023推定に基づく。COVID-19は2023年に約200万人(総死亡の3%)で20位前後。
  • 非伝染性疾患が上位7位を占め(総死亡の約40%)、伝染性疾患は下気道感染症のみ上位。低所得国では感染症が上位を占めやすい。
  • 年次推移:2000年から非伝染性疾患の割合が4/10から7/10に増加。高齢化と生活習慣の変化が要因。

世界の突然死の原因ランキング

突然死(突然の心停止や急性発作による予期せぬ死亡、主に心臓由来)は、世界で年間約600-700万件発生し、心血管疾患が80%以上を占めます。WHOと循環器学会のデータに基づく推定ランキングで、虚血性心疾患が大半です。以下は主な原因(割合は疫学調査からの推定)。

順位原因割合(%)詳細・特徴
1位急性心筋梗塞・虚血性心疾患約40-50冠動脈の急性閉塞。喫煙・高コレステロールがリスク。世界の突然死の主因。
2位心室性不整脈(心室細動など)約20-30心臓の電気異常による心停止。既存心疾患が基盤。
3位脳卒中(出血・梗塞)約10-15脳血管の突然破裂や詰まり。意識喪失即死率高。
4位肺塞栓症約5-10血栓が肺動脈を塞ぐ。長時間不動時(飛行機など)に増加。
5位大動脈解離・破裂約5大動脈の壁裂け。激痛を伴い、即死率50%以上。

注記:

  • 突然死の約40-50%が心血管由来で、生存率は世界平均1%未満(米国5%)。AED普及で救命可能。
  • 若年層では遺伝性不整脈や薬物中毒も含むが、高齢者中心。発展途上国では感染症合併例も。
  • データはGBDとPubMedのレビューに基づく推定。公式分類で「突然死」を別途集計しないため、割合は調査値。