交感神経と副交感神経の特徴と違いについて

交感神経系と副交感神経系は、自律神経系(自律神経)の2つの主要な部分です。これらは体の無意識の機能を調節し、互いにバランスを取りながら体の恒常性を維持します。以下にそれぞれの特徴、生理現象、そして両者の違いについて詳しく説明します。

交感神経系(Sympathetic Nervous System)

特徴

  • 主にストレスや緊急事態に反応し、「戦うか逃げるか(fight or flight)」反応を引き起こします。
  • 活性化すると、体を迅速に行動できる状態に準備します。

生理現象

  1. 心拍数の増加
    • 心臓の収縮力を高め、血液をより多く送り出すことで、筋肉に酸素と栄養を供給します。
  2. 瞳孔の拡大
    • 視覚情報をより多く取り入れるために瞳孔が拡大します。
  3. 気道の拡張
    • 気道が広がり、呼吸が楽になり、酸素供給が増えます。
  4. 血糖値の上昇
    • グリコーゲンがグルコースに分解され、血糖値が上昇します。これにより、エネルギーが急速に供給されます。
  5. 消化活動の抑制
    • 消化管の活動が抑えられ、血液が消化器系から筋肉や脳へ優先的に供給されます。
  6. 発汗の促進
    • 体温を下げるために発汗が促進されます。

副交感神経系(Parasympathetic Nervous System)

特徴

  • 主にリラックス時や安静時に活性化し、「休息と消化(rest and digest)」反応を引き起こします。
  • 体のエネルギーを節約し、回復を促します。

生理現象

  1. 心拍数の低下
    • 心拍数が減少し、心臓の活動が緩やかになります。
  2. 瞳孔の収縮
    • 視覚刺激を減らし、目を保護します。
  3. 消化活動の促進
    • 消化管の活動が活発になり、消化液の分泌が増加します。
  4. 唾液の分泌促進
    • 唾液の分泌が増加し、消化を助けます。
  5. 排尿促進
    • 膀胱の収縮が促進され、排尿が容易になります。
  6. 気道の収縮
    • 気道が収縮し、呼吸が緩やかになります。

違いのまとめ

特徴交感神経系副交感神経系
主な役割戦うか逃げるか(fight or flight)休息と消化(rest and digest)
心拍数増加低下
瞳孔拡大収縮
気道拡張収縮
消化活動抑制促進
血糖値上昇通常または低下
発汗促進通常または抑制
唾液分泌減少増加
排尿抑制促進

まとめ

交感神経系と副交感神経系は、それぞれ異なる状況で体の機能を調節する役割を果たしています。交感神経系は緊急事態やストレスに対する迅速な対応を促し、副交感神経系はリラックスと回復を助けるための機能を調整します。これらのシステムは互いにバランスを取り合いながら、体の恒常性を維持しています。