口腔内での良い菌と悪い菌について

口の中には、数百種類の細菌が存在し、それぞれが役割を果たしています。これらは大きく分けて「良い菌」と「悪い菌」とされるグループがあります。


1. 良い菌(善玉菌)

良い菌は、口腔内の健康を維持し、悪い菌の増殖を抑える働きをします。

主な良い菌

  • ラクトバチルス菌(乳酸菌)
    • 役割:口腔内の酸性度を抑え、虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑制。
    • 特徴:プロバイオティクス製品に含まれることもあります。
  • ビフィズス菌
    • 役割:口腔内のpHバランスを調整し、悪玉菌の増殖を抑える。
  • 口腔連鎖球菌(Streptococcus salivariusなど)
    • 役割:唾液分泌を促進し、抗菌物質(バクテリオシン)を産生。
    • 特徴:口臭を防ぎ、口腔内の環境を整える。

働き

  • 唾液の分泌を助け、食べかすやプラークを洗い流す。
  • 口腔内の酸性化を防ぎ、歯のエナメル質を保護。

2. 悪い菌(悪玉菌)

悪い菌は、増えすぎると虫歯や歯周病、口臭などのトラブルを引き起こします。

主な悪い菌

  • ミュータンス菌(Streptococcus mutans)
    • 役割:糖分を分解して酸を作り、エナメル質を溶かす。
    • 特徴:虫歯の主な原因菌。
  • ラクトバチルス菌(特定条件で)
    • 備考:本来は善玉菌ですが、糖分が過剰な環境で酸を作り、虫歯を促進する場合があります。
  • ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)
    • 役割:歯周病の原因菌。
    • 特徴:歯肉を破壊し、炎症を引き起こす。
  • フゾバクテリウム(Fusobacterium nucleatum)
    • 役割:歯肉炎や歯周病を引き起こす。
    • 特徴:口臭の原因にもなる。

悪影響

  • 酸を作り、歯の表面を溶かす(虫歯)。
  • 歯茎を侵食し、炎症や出血を引き起こす(歯周病)。
  • 口臭を悪化させる。

3. 良い菌と悪い菌のバランス

口腔内の健康は、良い菌と悪い菌のバランスが取れていることに依存します。

  • 善玉菌の減少原因
    • 糖分や加工食品の過剰摂取。
    • 不十分な歯磨きやデンタルケア。
    • 唾液分泌量の低下(ストレスや加齢が原因)。
  • 悪玉菌の増加原因
    • 糖分が多い食事。
    • 口腔内の乾燥(ドライマウス)。
    • 定期的な歯科受診を怠ること。

4. 口腔内のバランスを整える方法

  1. 毎日のブラッシング
    • 食後の歯磨きを徹底し、プラークを除去。
  2. フッ素使用
    • フッ素入り歯磨き粉で虫歯菌の抑制。
  3. 食生活改善
    • 糖分を減らし、キシリトールガムを利用。
  4. 唾液の分泌促進
    • 水分を摂取し、唾液が乾燥しないようにする。
  5. プロバイオティクスの摂取
    • 善玉菌を増やすための食品(ヨーグルトなど)やサプリメントを活用。

まとめ

良い菌と悪い菌はどちらも口腔内に共存していますが、悪玉菌が増えすぎるとトラブルを引き起こします。正しいケアと生活習慣で、口腔内の健康を維持することが重要です。