心筋梗塞(急性心筋梗塞)の症状は性別で大きく異なり、女性は「非典型的」な症状が多く、見逃されやすいため、死亡率が男性より高い(日本循環器学会:女性の院内死亡率 約15% と男性 約10%)。以下に、初期症状・発症パターン・誤診リスクを比較表でわかりやすくまとめます。
男性と女性:心筋梗塞症状の比較表
| 項目 | 男性(典型的症状) | 女性(非典型的症状) |
|---|
| 主な症状 | 激しい胸痛(締め付けられるような) | 吐き気・嘔吐・異常な疲労感 |
| 胸の痛み | 中央が強く、20分以上続く | 弱い・なし(約50%が胸痛なし) |
| 痛みの広がり | 左腕・肩・あごに放散 | 背中・首・胃・歯に広がる |
| 発汗 | 冷や汗(急にドッと) | 冷や汗+めまい・立ちくらみ |
| 息切れ | 胸痛と同時 | 単独で出現(特に階段・歩行時) |
| 前兆(発症前) | 少ない(急に発症) | 1〜2週間前から「極端なだるさ」「睡眠障害」 |
| 誤診されやすい病名 | 狭心症 | 胃腸炎・パニック障害・更年期障害 |
| 受診までの時間 | 平均 2.5時間 | 平均 5.3時間(遅れがち) |
| リスクが高い人 | 喫煙・高血圧・脂質異常 | 糖尿病・閉経後・ストレス・高血圧 |
具体例でイメージ
| 状況 | 男性の例 | 女性の例 |
|---|
| 発症時 | 「胸が締め付けられる!痛い!」 → すぐに救急車 | 「なんか胃がキリキリ…吐きそう」 → 「胃薬飲んで寝よう」 |
| 前日まで | 特に異常なし | 「1週間、異常に疲れて寝てばかり…」 |
| 病院で | 心電図で即診断 | 「胃カメラ?」と言われ、循環器へ回される |
なぜ女性は症状が違うの?(医学的理由)
| 要因 | 説明 |
|---|
| ホルモン | 女性ホルモン(エストロゲン)が血管を保護 → 閉経後急減 → 症状がマスクされる |
| 血管の違い | 女性の冠動脈は細く・硬い → 血栓ができても「急激な痛み」になりにくい |
| 痛み感受性 | 女性は内臓痛を強く感じる → 胸より「胃・背中」に症状が出る |
| 合併症 | 糖尿病が多い → 神経障害で痛みを感じにくい |
心筋梗塞の女性の初期症状は「胃痛」「疲労感」?見逃しやすい非典型サインと受診の目安
女性が特に注意すべき「危険サイン」
以下のどれかが20分以上続く → 即119番
- 異常な疲労感(家事ができない)
- 吐き気・嘔吐(安静時)
- 息切れ(軽い動作で)
- 背中・あご・胃の痛み(胸と関係なさそうでも)
まとめ
| 性別 | 対応のポイント |
|---|
| 男性 | 胸痛=心筋梗塞 → 迷わず救急 |
| 女性 | 胸痛なくても、吐き気・だるさ・息切れ → 循環器受診 |