日本人の死因1位「がん」は世界とどう違う? 日本と世界の最新の死因ランキングを比較

日本と世界の最新の死因ランキングを比較すると、両者の間に明確な「死の構造」の違いが見えてきます。厚生労働省の2023年統計でがん(悪性新生物)が43年連続1位の日本は、老衰が3位に急浮上するなど「長寿型」の死因構造が顕著です。一方、WHOとGBDの推計に基づいた世界ランキングでは、虚血性心疾患が圧倒的1位で、下気道感染症や糖尿病が上位を占める「生活習慣病・感染症型」が主流です。しかし、心臓発作などによる突然死の原因は日米間でほぼ共通しており、その後の救命率こそが両者の大きな違いとなっています。
データソース: 

  • 日本=厚生労働省2023年人口動態統計 
  • 世界=WHO/GBD 2023推計

1. 全体死因ランキング比較(上位10位)

順位日本(2023)構成比世界(2023)構成比
1悪性新生物(がん)24.3%虚血性心疾患16%
2心疾患14.7%脳卒中11%
3老衰12.1%COPD(慢性閉塞性肺疾患)6%
4脳血管疾患6.6%下気道感染症(肺炎など)5%
5肺炎4.8%認知症・アルツハイマー4%
6不慮の事故3.5%糖尿病3.5%
7自殺2.0%下気道疾患3%
8COVID-191.5%腎臓病2.5%
9腎不全1.2%肝疾患2.5%
10慢性閉塞性肺疾患1.1%肺がん2%

比較ポイント

項目日本世界
1位がん(長寿+検診普及)心疾患(生活習慣病の進行)
高齢化反映老衰が3位(12.1%)認知症が5位(4%)
感染症肺炎5位、COVID-19 8位下気道感染症4位(発展途上国影響)
自殺7位(先進国で突出)上位10位に入らず
がん1位だが割合は世界平均より高い肺がんのみ10位(他がんは分散)

2. 突然死の原因ランキング比較

順位日本(推定割合)割合世界(推定割合)割合
1急性心筋梗塞40-50%急性心筋梗塞・虚血性心疾患40-50%
2心室性不整脈20-30%心室性不整脈20-30%
3脳出血・脳梗塞10-15%脳卒中(出血・梗塞)10-15%
4肺塞栓症5-10%肺塞栓症5-10%
5大動脈解離・破裂5%大動脈解離・破裂5%

比較ポイント

項目日本世界
共通性上位5位はほぼ同一(心臓・脳・血管系)
発生数年間約7-8万人年間約600-700万人
生存率AED普及で10-15%(都市部)世界平均1%未満(米国5%)
特徴高齢者の心筋梗塞・脳卒中が主流発展途上国では感染合併例も

まとめ

観点日本世界
死因構造長寿型(がん・老衰・心疾患)生活習慣病+感染症型
突然死原因は世界と同じだが、AED・救急体制で生存率高い原因同じだが、救命インフラ格差大
予防の鍵がん検診+高血圧管理禁煙・運動+感染症対策
今後の課題超高齢化による老衰・認知症急増低所得国での感染症死削減


日本は「長生きしすぎて死ぬ」パターン、
世界は「生活習慣病で急に死ぬ」パターンが主流。