気管内吸引の開放式の特徴や手順について

開放式吸引は、気道内に貯留した分泌物や異物を取り除くために、人工呼吸器から吸引カテーテルを使用する方法です。この方法は使い捨てカテーテルを用い、吸引するたびに呼吸器回路を外して実施します。

開放式吸引の特徴

  • カテーテルの使用:吸引カテーテルは、手技の際に新しいものを使うため、清潔に保たれています。これにより、気道感染のリスクが最小限に抑えられますが、エアロゾルの飛散による感染リスクが高くなる可能性もあります。
  • 呼吸器回路を外す手技:呼吸回路を外すため、酸素供給が一時的に中断します。低酸素状態になりやすい患者の場合、吸引前の酸素投与が事前に行われることもあります。
  • 短時間での手技実施:呼吸器からの回路脱着と分泌物吸引の操作を効率的に行う必要があります。

開放式吸引の手順

  1. 準備:消毒などの準備を行い、必要に応じて酸素マスクなどの使用も考慮します。
  2. 患者の体位調整:気管挿管されている患者には、体位を調整して分泌物の排出がしやすいように準備します。
  3. 酸素供給:酸素が必要な患者には、吸引前後で酸素を一時的に増やす「酸素プリチャージ」を行い、低酸素リスクを回避します。
  4. カテーテル挿入と吸引:呼吸器の回路を外してカテーテルを挿入し、分泌物を吸引します。
  5. 手技後の処理:使用済みのカテーテルを廃棄し、感染対策として手袋や器具の適切な処理を行います。

開放式吸引の利点

  • コストが低い:使い捨ての吸引カテーテルを使用するため、導入・運用コストが低く抑えられます。
  • 清潔性の確保:毎回新しいカテーテルを使用するため、感染リスクが管理しやすいです。

開放式吸引の欠点

  • 低酸素リスク:回路を外すため、吸引時に酸素供給が一時的に中断され、低酸素リスクが生じやすくなります。
  • エアロゾルの飛散:吸引時にエアロゾルが飛散しやすく、医療従事者や周囲の人々が感染リスクにさらされる可能性があります。

適応と使用状況

開放式吸引は、特に感染リスクが低い場面や短期間の吸引が必要な場合、また、経済的なコストが重視される環境で選ばれやすいです。