無症状から突然「発熱・激痛」へ!胆石、 胆嚢炎のメカニズムと、放っておくと危険な合併症リスク

胆石(たんせき)と胆嚢炎(たんのうえん)についてのわかりやすい説明です。医学的な内容ですが、専門用語は最小限にし、一般向けにまとめています。

1. 胆石(胆嚢結石)とは?

  • 胆石は、胆汁(たんじゅう)という消化液が固まってできた石のこと。
  • 胆汁は肝臓で作られ、胆嚢(たんのう)という袋に貯められ、食事のときに十二指腸に送られて脂肪を消化します。
  • 胆汁の成分(コレステロール、ビリルビン、カルシウムなど)がバランスを崩すと、結晶化して石になる

主な種類

種類特徴割合
コレステロール結石黄色っぽい。脂肪分の多い食事が原因。約80%(日本でも多い)
色素結石黒や茶色。感染や溶血性疾患が原因。約20%

危険因子(なりやすい人)

  • 40代以上の女性(女性ホルモンの影響)
  • 肥満・急激なダイエット
  • 糖尿病・高脂血症
  • 妊娠・出産歴
  • 家族歴

症状

  • 無症状(70〜80%は症状なしで検診で発見)
  • 胆石発作:食事(特に脂っこいもの)後に右上腹部やみぞおちの激痛、吐き気、背中や右肩への放散痛

2. 胆嚢炎とは?

  • 胆嚢の炎症胆石が原因のことが約90%(胆石性胆嚢炎)。
  • 石が胆嚢の出口(胆嚢管)をふさいで、胆汁がたまると細菌感染を起こし、炎症が進む。

症状(急性胆嚢炎)

  • 右上腹部の持続的な激痛(数時間〜数日)
  • 発熱・悪寒
  • 吐き気・嘔吐
  • 腹部の張り(お腹を押すと痛い)
  • 黄疸(まれ)

注意:高齢者や糖尿病の人は症状が弱く、気づきにくいことも。


3. 診断方法

  • 超音波検査(エコー):最も一般的。石や炎症がよくわかる。
  • 血液検査:炎症マーカー(CRP、白血球)や肝機能、胆道酵素の上昇。
  • CT/MRI:複雑な場合や合併症の確認に。

4. 治療

① 無症状の胆石

  • 経過観察(様子見)。定期的なエコー検査。

② 症状のある胆石・急性胆嚢炎

段階治療
初期(軽症)絶食・点滴、抗生物質、痛み止め
手術胆嚢摘出術(たんのうてきしゅつじゅつ) ・腹腔鏡手術(お腹に小さな穴を4つ開ける)が主流・入院:3〜5日、回復:1〜2週間
重症(壊死・穿孔)緊急手術、ドレナージ(膿を出す管を入れる)

胆嚢を取っても生活に支障はほぼなし(胆汁は肝臓から直接腸へ出るようになる)。


5. 合併症(放っておくと危険)

  • 胆管炎(胆管の炎症)
  • 膵炎(すいえん)
  • 胆嚢穿孔(破裂)→腹膜炎
  • 胆嚢がん(まれだが、大きな石や瓷化胆嚢はリスク)

6. 予防・生活上の注意

  • 食事:脂っこい食事(揚げ物、ケーキなど)を控える。食物繊維を多めに。
  • 体重管理:急激な減量はNG(1ヶ月に1〜2kgまで)。
  • 定期検診:特に危険因子がある人はエコー検査を。

まとめ

項目ポイント
胆石胆汁が固まった石。無症状が多いが、発作時は激痛。
胆嚢炎胆石が原因で胆嚢が炎症。発熱・激痛で緊急対応が必要。
治療軽症は薬、重症は胆嚢摘出(腹腔鏡)が標準
予防脂質控えめ、急激なダイエット避け、定期検診。