理学療法士と作業療法士の資格や業務を以下の表にまとめます。それぞれの専門性と役割が明確に異なり、主な対象、業務内容、アプローチ方法などに違いがあります。
項目 | 理学療法士 (PT) | 作業療法士 (OT) |
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資格取得方法 | ・養成校での教育(3~4年) ・国家試験合格 | ・養成校での教育(3~4年) ・国家試験合格 |
資格の管轄 | 厚生労働省 | 厚生労働省 |
対象者 | ・骨折、関節痛、脳卒中、心疾患、 呼吸器疾患などの身体機能低下者 | ・精神障害、発達障害、 認知機能低下のある患者 |
目的 | 身体機能の回復・維持 | 日常生活や社会生活での自立支援 |
主な業務内容 | – 運動療法:筋力トレーニング、関節運動など – 物理療法:温熱、電気刺激などでの痛み軽減 – 歩行訓練:安全に歩行するための指導 – 義肢・装具:適切な補助具の調整、指導 | – 日常生活動作訓練:食事や入浴などの基本動作支援 – 高次脳機能訓練:記憶、注意力、認知機能の改善 – 手工芸や趣味活動:趣味を通じた心身機能の向上 – 福祉用具の適合支援:自助具の選定・使用指導 |
アプローチの特徴 | ・運動や物理的手法で身体的な改善を目指す | ・応用的な作業を通じて 生活や社会活動への適応を促す |
できない業務 | – 診断・治療:病名の診断や薬の処方 – 直接的な介護:食事や入浴、排泄などの介助 – 精神面のカウンセリング | – 診断・治療:病状診断や薬の処方 – 身体リハビリの直接的訓練:歩行訓練や筋トレなど – 医療行為:注射や点滴など |
活躍する場所 | 病院、診療所、リハビリテーション施設、 訪問リハビリなど | 病院、介護施設、福祉施設、 障害者支援施設、訪問リハビリなど |
求められるスキル | 解剖学、運動学、物理療法知識、 身体機能評価スキル | 心理学、応用動作分析、作業活動の工夫、 コミュニケーションスキル |
まとめ
- 理学療法士は、患者の運動機能を回復・維持することを主な目的として、運動療法や歩行訓練など身体機能に直接働きかけるアプローチを行います。
- 作業療法士は、患者が日常生活や社会生活を自立して送れるよう、日常動作訓練や手工芸などを通じて心身機能の向上と適応力を促す支援を行います。
両者は異なる専門性を持ちながら、医療・福祉現場で連携し、患者の生活の質向上に貢献しています。