
日本の病院経営の現状と医療従事者の処遇に関する詳細な分析をまとめました。
現状は非常に厳しく、制度の転換期にあると言えます。
1. 病院経営の現状:深刻な赤字体質
日本の医療機関は、かつてない経営危機に直面しています。
- 赤字の蔓延: 全病院の約7割、公立病院に至っては約8割が赤字経営です。大学病院などの中核病院も例外ではありません。
- コストの急増: 物価高騰、光熱費・医療材料費の上昇、そして人手不足に伴う人件費の高騰が経営を圧迫しています。
- 収益構造の限界: 公定価格である「診療報酬」がコスト増に追いついておらず、低収益な救急・地域医療の負担が重くのしかかっています。
実際に減額・縮小している例がある
・勤務医の調査では、2025年冬季ボーナスが前年より減額になった人が約16%にのぼっています。これは経営悪化を反映した動きと見られています。
・過去の調査でも、病院の約4割がボーナスを減額した実績があり、経営状況の悪化が従業員処遇へ直接影響しています。
2. 医療従事者の給与:緩やかな改善と構造的壁
給与が上がる兆しはあるものの、実感として「大幅なアップ」に繋がるかは不透明です。
- プラス改定の影響: 2026年度からの診療報酬改定で、約30年ぶりとなる高水準の引き上げが予定されています。これは人件費への充当が主な目的です。
- ベースアップ評価料: 賃上げを促す新制度が導入されていますが、経営難の病院では活用が難しく、病院間の格差が広がる要因にもなっています。
- 構造的な制約: 自由な価格設定ができない制度上、他産業のような大幅な賃上げは難しく、病院の経営再建が優先される現場では給与への還元が後回しになるリスクがあります。
3. 今後の見通し:回復への長い道のり
改善には単発の支援ではなく、数年単位の構造改革が必要です。
- 短期(1〜2年): 急激なコスト増に制度が追いつかず、苦境が継続する可能性が高い。
- 中期(3〜5年): 診療報酬の抜本見直しや病院の再編・統合が進めば、徐々に運営基盤が安定する兆しが見える。
- 長期(5年以降): 人口減少社会に適合した医療体制(地域ネットワークの再構築など)が実現すれば、持続可能な経営と処遇改善が両立する。
結論
病院経営は「構造的な赤字」の状態にあり、2026年度の診療報酬改定が大きな転換点となります。医療従事者の給与は「制度的には上がる方向だが、病院の体力次第で二極化する」という厳しい局面が続くと予想されます。
