以下は 胆石(特にコレステロール結石) 向けの 食事療法 を、科学的根拠+実践ポイント で詳しくまとめました。
慢性胆嚢炎の症状コントロール にも有効です。
1. 基本原則(3つの柱)
| 柱 | 目的 | ポイント |
|---|
| ① 脂質コントロール | 胆汁分泌を抑え、胆嚢の負担↓ | 総脂肪を1日40g以内に |
| ② 食物繊維UP | 胆汁酸の再吸収を減らし、コレステロール結石予防 | 1日25g以上 |
| ③ 急激な減量NG | 胆汁うっ滞→結石形成を防ぐ | 月1〜2kgまで |
2. 具体的な食事ルール◎
食べるべき食品(積極的に)
| 食品群 | 例 | 理由 |
|---|
| 野菜(食物繊維) | ブロッコリー、キャベツ、にんじん、きのこ、海藻 | 胆汁酸を便と一緒に排泄 |
| 果物 | りんご、柑橘類、ベリー類 | ペクチン(水溶性繊維)がコレステロール↓ |
| 全粒穀物 | 玄米、オートミール、全粒パン | 食物繊維+ビタミンB |
| 豆類 | 大豆、納豆、レンズ豆 | 植物性タンパク+繊維 |
| 魚(青魚) | さんま、さば、いわし | DHA/EPAで胆汁分泌促進 |
| 良質な油 | オリーブ油(1日大さじ1)、えごま油 | 少量で胆嚢収縮を穏やかに |
× 控えるべき食品(避ける・減らす)
| 食品群 | 例 | 理由 |
|---|
| 高脂肪食 | 揚げ物、天ぷら、唐揚げ、とんかつ | 胆嚢が強く収縮→発作誘発 |
| 乳製品(高脂肪) | 生クリーム、バター、チーズ(特にハード系) | 飽和脂肪酸が多い |
| 加工肉 | ソーセージ、ベーコン、ハム | 脂肪+添加物 |
| 菓子類 | ケーキ、ドーナツ、チョコ(特にミルク) | トランス脂肪酸・砂糖 |
| インスタント食品 | カップ麺、レトルトカレー | 隠れ油分が多い |
3. 1日の食事例(1,600kcal目安)
| 食事 | メニュー例 | 脂質目安 |
|---|
| 朝 | オートミール(牛乳→豆乳)、りんご、ゆで卵(黄身1/2) | 8g |
| 昼 | 玄米ご飯、さんまの塩焼き、野菜炒め(油小さじ1)、味噌汁(わかめ) | 12g |
| 間食 | ヨーグルト(無糖)+ブルーベリー | 3g |
| 夜 | 鶏むね肉の蒸し物、ブロッコリー、きのこソテー(オリーブ油小さじ1)、納豆 | 10g |
| 合計 | — | 約33g |
ポイント:
- 油は「計量スプーン」で測る(目分量は危険)
- 調理法:蒸す・茹でる・グリル を優先。揚げ・炒めは週1回。
4. 飲料・嗜好品の注意
| 飲料 | 推奨 | 注意 |
|---|
| 水 | 1日1.5〜2L | 胆汁を薄める |
| 緑茶・コーヒー(無糖) | OK | カフェインで軽い利胆作用 |
| アルコール | × 完全禁止(特にビール) | 胆嚢収縮+脂肪吸収↑ |
| ジュース・清涼飲料 | × | 糖分で肥満リスク |
5. 特殊なケース別アドバイス
| 状況 | 対応 |
|---|
| 急性発作後 | 絶食→おかゆ→3日目から低脂肪食(脂質10g/日) |
| 手術前 | 手術前日は 脂質5g以下(おかゆ、うどん、ゼリー) |
| 手術後(摘出後) | 最初の1ヶ月は 脂質30g/日 → 徐々に40gまで |
| 糖尿病合併 | 炭水化物は 玄米・雑穀 で血糖コントロール |
6. 食事療法の効果(エビデンス)
| 研究 | 結果 |
|---|
| 地中海食研究(2018) | オリーブ油+野菜+魚 → 胆石発症リスク 32%低下 |
| 食物繊維摂取(25g/日) | 胆汁酸排泄↑ → 結石形成 抑制 |
| 急激ダイエット(週1kg以上) | 胆石リスク 4倍(NEJM, 1999) |
7. 実践チェックリスト(毎週確認)
□ 1日の油は大さじ2以内(30g)
□ 野菜は両手いっぱい(350g以上)
□ 揚げ物は週1回以下
□ 体重は月1kg以内の変化
□ 食後2時間の腹部不快感を記録
まとめ:胆石食事療法の鉄則
「脂質30〜40g/日」+「繊維25g/日」+「ゆっくり減量」
=
発作予防+結石進行ストップ
最終アドバイス
- 食事日記 を1週間つけて、脂質計算アプリ(例:あすけん) を使うと目からウロコ!
- 症状が続く場合 は 食事+手術 のコンボが最強。
→ 食事だけで治すのは難しいので、消化器外科で相談を。