
「脳卒中」と一括りにされがちな脳出血(脳内出血)と脳梗塞。その発症メカニズム、致死率、治療法、そして予防の鍵は、実は全く異なります。特に脳梗塞が年間発症数で2〜3倍と圧倒的に多く、治療の進歩も著しい一方で、致死率が**30〜50%**と高い脳出血の脅威は依然として無視できません。
脳出血 vs 脳梗塞 2025年最新・完全比較表
| 項目 | 脳出血(脳内出血) | 脳梗塞(脳の詰まり) |
|---|---|---|
| 発症メカニズム | 脳内の血管が破れて出血→血腫で脳を圧迫 | 脳の血管が詰まって血が届かない→脳が壊死 |
| 日本での年間発症数 | 約4〜5万人 | 約10〜12万人(2〜3倍多い) |
| 30日以内の死亡率 | 30〜50%(重症なら70%超) | 8〜15% |
| 平均発症年齢 | 55〜70歳(やや若い) | 65〜85歳 |
| 最も多い原因 | 高血圧(全体の70%) | 心房細動+動脈硬化 |
| 発症のタイミング | 活動中(昼間)が最多 | 夜中〜朝方(寝ている間に多い) |
| 一番の初期症状 | 「バットで殴られたような」激しい頭痛+嘔吐 | 片麻痺・言語障害(頭痛は軽いか無い) |
| 意識障害の出やすさ | 非常に早い(数分で昏睡もあり) | 遅い(大血管閉塞でも数十分〜数時間) |
| 治療のゴールデンタイム | 発症〜6時間以内(血圧下げ+手術検討) | 発症〜4.5時間(t-PA)/〜24時間(血栓回収) |
| 主な治療 | 血圧を140以下に下げる+開頭/定位脳手術 | t-PA点滴+血栓回収療法 |
| 手術の頻度 | 約20〜30%(血腫が大きい場合) | 約15〜25%(血栓回収療法) |
| 平均入院期間 | 3〜12週間(重症は半年以上) | 3〜6ヶ月(回復期リハビリ含む) |
| 後遺症の重さ | 出血量が多いと寝たきり率高い | 血栓回収成功なら軽度で済む人も多い |
| 再発率(5年以内) | 約10〜15%(血圧管理できれば低い) | 約20〜30%(心房細動があると高い) |
| 一番大事な予防 | 血圧130/80未満を死守 | 心房細動発見+抗凝固薬+禁煙 |
| 診断に一番役立つ画像 | 頭部CT(出血は真っ白に映る) | 頭部MRI拡散強調画像(梗塞は真っ白) |
| 家族が119番を呼ぶ目安 | 「突然の激しい頭痛+嘔吐」 | 「片側の手足が急に動かない+言葉が出ない」 |
一言で違いを言うと
| 脳出血 | 脳梗塞 |
|---|---|
| 「血管が破れる」→ 頭痛+意識が落ちる | 「血管が詰まる」→ 麻痺+言葉が出ない |
| 治療=血圧を下げる+手術検討 | 治療=血栓を溶かす・取る |
| 予防=血圧管理が命 | 予防=心房細動+生活習慣病対策 |
| 一度出血したら元に戻らないことが多い | 早期治療で後遺症ゼロの人もたくさんいる |
まとめ
- 激しい頭痛+嘔吐 → 脳出血を疑う
- 片麻痺+言葉が出ない(頭痛なし) → 脳梗塞を疑う
- どちらにせよ「1分でも早く119番」が命を救う
脳出血と脳梗塞、どちらも怖いですが、
「予防のやり方」と「初期対応」は全く違います。
