
脳出血は、発症後わずか数時間で容体が急変し、命に関わる非常に危険な病気です。特に発症から6時間以内は出血が拡大しやすく、脳幹圧迫による意識低下や呼吸停止のリスクが最も高まる「治療の勝負どころ」です。
脳出血の症状 発生場所別・詳しく解説
| 出血部位 | 急性期(発症〜数時間)の典型症状 | 特に注意すべき危険サイン(すぐに救急車!) | 後遺症として残りやすい症状 |
|---|---|---|---|
| 被殻出血 | ・片側の手足が急に動かなくなる(片麻痺) ・片側の感覚がなくなる ・目が患側に寄って戻らない ・利き手側なら失語(言葉が出ない・理解できない) | 意識レベルの低下、嘔吐を繰り返す | 片麻痺、感覚障害、高次脳機能障害(注意障害など) |
| 視床出血 | ・片側の全身がしびれる(顔〜足先まで全部) ・感覚が過敏になることも ・目が下や内側に寄る(眼球運動障害) ・ぼーっとする、呼びかけに反応が鈍い | 急に眠ったように意識がなくなる | 視床痛(灼けるような激痛)、感覚障害、記憶障害 |
| 皮質下出血(額・頭頂・側頭・後頭葉) | ・場所によって症状が全く違う 額:無気力、行動が変わる 頭頂:空間が認識できない、着替えができない 側頭:言葉が理解できない 後頭:視野が欠ける | けいれん発作、意識障害が急に悪化 | 半側空間無視、高次脳機能障害、視野障害 |
| 小脳出血 | ・「天井が回る」激しいめまい ・立っていられない、歩けない ・ろれつが回らない ・激しい頭痛+嘔吐 | 急にぐったりして反応がなくなる(脳幹圧迫) | ふらつき、協調運動障害 |
| 橋出血(脳幹) | ・両手両足が動かなくなる(四肢麻痺) ・瞳孔がピンポイントに小さくなる ・目が横に動かない ・発熱(中枢性) | 数分〜数時間で昏睡、呼吸が止まりそうになる | 閉じ込め症候群、重度障害、寝たきり |
| クモ膜下出血(参考) | ・「ハンマーで頭を叩かれたような」今まで経験したことない頭痛 ・一瞬意識を失う(数秒〜数分) ・首が硬くなる(項部硬直) | 再出血で急に意識がなくなる | 血管れん縮による脳梗塞、水頭症 |
時間経過ごとの症状の変化(超重要)
| 時間 | よく見られる変化 |
|---|---|
| 発症直後〜1時間 | 突然の激しい頭痛、嘔吐、手足の麻痺、意識がはっきりしない |
| 発症1〜6時間 | 出血が拡大→症状がどんどん悪くなる(特に小脳・脳幹) → この時間帯が一番危険! |
| 発症6〜24時間 | 脳浮腫(むくみ)がピークに→意識低下、呼吸が弱くなる |
| 2〜7日目 | 脳のむくみが少しずつ引いてくる人もいれば、水頭症で悪化する人もいる |
家族が「これが出たら即119番!」と覚えておくべき5大危険症状
- 今まで経験したことない激しい頭痛(特にバットで殴られたような)
- 急に片側の手足が動かなくなった・力が入らない
- 意識がもうろうとして呼びかけに答えない
- 繰り返し嘔吐する(特に噴水のように)
- 急に歩けなくなった・ふらついて立てない
→ これらのうち1つでもあれば、すぐに救急車を呼んでください!
「様子を見よう」は絶対ダメです(特に発症6時間以内が治療の勝負です)
