[脳卒中の治療比較]:命運を分ける「ゴールデンタイム」と、手術率・退院後のメイン薬の違い

脳卒中は、タイプ(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)によって、救命・機能予後を左右する治療の戦略と時間制限が全く異なります。特に、近年の治療の進歩は著しく、特に脳梗塞では血栓回収療法の登場により、後遺症が激減するケースが増えています。

脳卒中3種類の治療の違い

項目脳梗塞脳出血くも膜下出血
命を救う最優先目標詰まった血管を一刻も早く開通させる出血を止める+脳圧を下げる再出血を絶対に防ぐ
ゴールデンタイム発症から4.5時間(t-PA)〜8〜24時間(血栓回収)できるだけ早い(数時間以内が理想)72時間以内(遅くても1週間以内)
超急性期のメイン治療① t-PA静脈注射(4.5時間以内) ② 血栓回収療法(カテーテルで直接取る)血圧を厳しく下げる(140〜160くらいまで)開頭クリッピングorコイル塞栓術
手術のタイミング血栓回収は6〜24時間以内血腫が大きくて脳が圧迫されてる時だけできるだけ早く(48〜72時間以内が理想)
手術の名前機械的血栓回収療法血腫除去術・脳室ドレナージ① 開頭クリッピング② コイル塞栓術
手術率約10〜15%の人だけ(大きな血管が詰まった場合)20〜30%くらいほぼ100%(未破裂でもやる場合あり)
入院中の最大の敵再詰まり・脳浮腫再出血・水頭症血管攣縮(発症4〜14日目がピーク)
退院後のメイン薬① 抗血小板薬(アスピリン・クロピドグレル) ② 心房細動なら抗凝固薬(ワルファリン・DOAC)血圧の薬(必ず飲み続ける!)ほぼ薬なし(ニフェジピンなど一時的)
再発予防で一番大事なこと原因に応じて(心房細動→抗凝固薬、動脈硬化→スタチン+抗血小板薬)血圧を140/90未満にキープ手術が成功していれば再発はほぼゼロ
治療の進歩(ここ10年)めっちゃ進化した!(血栓回収で後遺症が激減)あまり変わらず(血圧管理が命)コイル治療が増えて開頭手術が減った
2025年現在の救命率超急性期治療受けられれば90%以上生存50〜70%くらい60〜70%くらい(昔よりかなり良くなった)

まとめ

  • 脳梗塞 → 「詰まったらすぐ開ける!」(時間との戦い)
  • 脳出血 → 「血圧をガツンと下げて出血を止める」(手術は少数)
  • くも膜下出血 → 「コブを塞ぐ手術が命綱」(再出血=ほぼ死)

治療の進歩が一番すごいのは脳梗塞(特に血栓回収療法)です!
「10年前なら寝たきりだった人が、今は普通に歩いて退院する」ことが本当に増えました。