
2025年広告宣伝ガイドライン第3版は、パチンコ業界において、主に「射幸心を煽る表現の制限」と「透明性の向上」を目的とした、より厳格な規制を導入しています。これは、ギャンブル依存症対策や健全な遊技環境の維持を目的としており、2025年7月1日から全国で適用されます。
パチンコ店向け2025年広告宣伝ガイドライン第3版:顧客視点のメリット・デメリット
項目 | メリット(顧客にとっての良い点) | デメリット(顧客にとっての懸念点) |
射幸心煽り表現の制限 | – 過度な期待感を煽る広告が減り、冷静な判断で遊技できる。 – 「出る」といった誤解を招く情報に惑わされず、不必要な出費を抑えられる可能性がある。 – ギャンブル依存症のリスク軽減に繋がる。 | – 「当たり台」や「イベント」といった期待感や高揚感が減少する。 – 情報を頼りに台選びをしていた顧客にとっては、機種選びが難しくなる可能性がある。 – 独自のイベントが減り、店舗ごとの個性が薄れると感じるかもしれない。 |
透明性・情報開示の強化 | – 広告であることやAI生成コンテンツの使用が明確になり、信頼できる情報源を見分けやすくなる。 – 「取材済み」表示の厳格化により、虚偽の取材情報に騙されるリスクが減る。 – 健全な遊技環境の整備が進む。 | – 広告に表示される情報量が減り、物足りなさを感じる可能性がある。 – イベントや特定の台に関する詳細な情報が得にくくなる。 – 広告が画一的になり、面白みが減少すると感じるかもしれない。 |
健全化・コンプライアンス | – 長期的に見て、より透明性が高く健全な業界運営が期待できる。 – 不適切な広告が減ることで、パチンコに対する社会的なイメージ改善に繋がる可能性がある。 | – 企業側のコスト増が、換金率の調整など顧客サービスに影響する可能性もゼロではない。 – 広告規制が厳しすぎると、新規顧客獲得が難しくなり、業界全体が縮小する懸念もある。 |
パチンコ店における規制内容
パチンコ店における主な規制内容は以下の通りです。
1. 射幸心を煽る表現の厳格な禁止
顧客の「期待感」や「大勝ち」を過度に煽るような表現が厳しく制限されます。
- 出玉に関する直接的・間接的な表現の禁止:
- 「強化」「期待」「激アツ」「爆裂」など、出玉性能を連想させる文言の使用が禁止されます。
- 特定の機種の設定状況や性能改変を示唆する表現(例:「甘釘」「高設定」「モーニング」「イブニング」など)も禁止されます。
- コンプリート機能(特定の出玉に達すると打ち止めになる機能)を搭載した台の一覧掲載も禁止されます。
- 画像や装飾など、視覚的な演出によって射幸心を煽るものも規制対象となります。
- 「公約系イベント」の事前告知の禁止:
- 「必ず出る」「還元する」といった、実態のない出玉を約束するようなイベントの事前告知は禁止されます。
- 特定機種を対象とした時差開店広告の原則禁止:
- 特定の機種を狙って顧客を集めるような、一部機種のみを対象とした時差開店の告知は原則禁止されます。時差開店の告知は、全台、全体、または20台以上のボックス単位などの条件を満たす場合に限定されます。
- 機種関連の記念日・イベント告知の制限:
- メーカーが独自に行う「○○の日」(メーカー名の日)などのキャンペーンやイベントのホールでの告知は、原則禁止されます。ただし、業界団体が定める記念日(ファン感謝デー、パチスロの日など)や、ホール関係4団体が確認したメーカー記念日であれば、告知が可能です。
- 店長就任や誕生日、キャラクターの誕生日など、営業上の記念日ではないものや特定機種を連想させる記念日の広告も禁止されます。
- 「おすすめ機種」表示の制限:
- 「おすすめ機種」などの表示を日替わりで行うことは禁止され、最低1週間以上の継続的な掲示が義務付けられます。
2. 透明性と情報開示の強化
- 取材済み表示の厳格化:
- 「取材済み」と表現する場合、電話やメールのみのやり取りでは認められず、実際に店舗に来店し、現地で取材を行った場合のみ使用が可能です。
- 同一週内に異なる機種関連の取材表示・追加も禁止されます。
- AI生成コンテンツの明示:
- 広告にAIキャラクターやAI生成画像を使用する場合、「AI生成」であることを明確に表示することが義務付けられます。
- リニューアル・改装に関する表示基準の明確化:
- 「リニューアル」や「リフレッシュ」といった表現を使用できる基準(例:遊技機設置台数の10%以上の変更、室内壁紙の張替えが全体の半分以上など)が具体的に定められます。これらの条件を満たさない場合は、当該表現の使用はできません。
- 景品告知の制限:
- 特定機種を連想させる景品の入荷告知は、同一週内(毎週月曜起算)で1回までに制限されます。週内での追加・変更も禁止されます。
3. ステルスマーケティング対策の強化
- 第三者による取材や演者のSNS投稿についても、出玉を示唆するような表現や、実態のない「公約」を連想させるものが厳しく規制されます。
顧客への影響
これらの規制は、顧客にとって以下のような影響を与える可能性があります。
- 射幸心の抑制: 過度な期待感を煽る広告が減ることで、冷静な判断に基づいた遊技が促され、ギャンブル依存症のリスク軽減に繋がる可能性があります。
- 情報の透明性向上: 広告の性質(広告であること、AI生成であることなど)が明確になることで、顧客はより信頼性の高い情報を得られるようになります。
- 「イベント感」の減少: 射幸心を煽るイベント告知が制限されるため、パチンコ店に「お祭り感」や「お得感」を求めていた顧客にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
- 情報の得にくさ: 特定の台やイベントに関する具体的な情報が減少するため、自身のプレイスタイルに合った台選びがしにくくなる可能性もあります。
- 健全な遊技環境の促進: 長期的には、より透明性の高い、健全なパチンコ業界の発展に繋がることが期待されます。
パチンコ店のイベントや取材の影響は?
2025年7月1日から適用されるパチンコ店の広告宣伝ガイドライン第3版により、イベントや取材に関する広告宣伝は、これまで通りとはいかず、かなり厳しく規制されます。
主なポイントは以下の通りです。
イベントについて
これまでのような「出玉を保証する」「特定の台が狙い目」といった印象を与えるイベント告知は、ほとんどできなくなります。
- 「公約系イベント」の事前告知は禁止:
- 「必ず出る」「還元する」など、実態のない出玉を約束するようなイベント(いわゆる「公約系」と呼ばれるもの)は、事前告知ができません。これは、顧客の射幸心を過度に煽る行為と見なされるためです。
- 出玉を示唆する表現の禁止:
- 「強化」「期待」「激アツ」「爆裂」といった出玉性能を連想させる文言や、特定の機種の設定状況や性能改変を示唆する表現(「甘釘」「高設定」など)の使用は禁止です。
- 特定機種を対象とした時差開店広告の原則禁止:
- 特定の機種だけを対象とした時差開店の告知は原則できません。時差開店の告知をする場合は、全台、全体の遊技機、または20台以上のボックス単位など、広範囲が対象の場合に限られます。
- 機種関連の記念日・イベント告知の制限:
- メーカーが独自に行う「○○の日」といったキャンペーンやイベントは、ホール側が告知することが原則禁止されます。ただし、業界団体が定める「ファン感謝デー」や「パチスロの日」などは例外的に告知可能です。
- 店長就任や誕生日、キャラクターの誕生日など、営業上の記念日ではないものや、特定機種を連想させる記念日の広告も禁止されます。
- 「おすすめ機種」表示の制限:
- 日替わりで「おすすめ機種」を表示することは禁止され、最低1週間以上の継続的な掲示が義務付けられます。
結果として、顧客にとっては「イベント狙い」で来店する意味合いが薄れ、純粋に遊技を楽しみに来店する傾向が強まる可能性があります。
取材について
取材に関する広告宣伝も、より透明性が求められ、厳格になります。
- 「取材済み」表示の厳格化:
- 「取材済み」と告知する場合、電話やメールのみのやり取りでは認められません。実際に取材スタッフが店舗に来店し、現地で取材を行った場合のみこの表現が使用できます。
- 同一週内の変更・追加の禁止:
- 同じ週内(月曜起算)に、特定の機種に関連した「第三者取材」の表示を変更したり、追加したりすることは禁止されます。
- ステルスマーケティング対策の強化:
- ホールと直接契約していない第三者(いわゆる「晒し屋」など)による取材や演者のSNS投稿についても、出玉を示唆するような表現や、実態のない「公約」を連想させるものが厳しく規制されます。
顧客にとっては、これまで以上に信頼性の高い「取材情報」のみが提供されることになるため、より正確な情報を得られるようになります。一方で、過去のような「盛り上がっている感」や、特定の情報を得られる機会は減るでしょう。