間質性肺炎(Interstitial Pneumonia)は、主に肺の間質(肺胞と肺胞の間の結合組織)に炎症や線維化が起こる疾患群の総称です。間質性肺炎には多くの種類があり、それぞれ異なる原因や病態を持ちます。以下に、間質性肺炎の概要、原因、症状、診断、治療について詳しく説明します。
1. 概要
間質性肺炎は、肺の間質に炎症が起こり、進行すると線維化が進行することで肺の弾力性が失われ、呼吸機能が低下する病気です。進行性で治療が難しいことが多く、慢性の経過をたどることが一般的です。
2. 原因
特発性間質性肺炎
- 原因不明:多くの間質性肺炎は原因が不明であり、「特発性間質性肺炎(Idiopathic Interstitial Pneumonia, IIP)」と呼ばれます。これには以下のようなタイプがあります:
- 特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis, IPF)
- 非特異性間質性肺炎(Nonspecific Interstitial Pneumonia, NSIP)
- 急性間質性肺炎(Acute Interstitial Pneumonia, AIP)
- 特発性器質化肺炎(Cryptogenic Organizing Pneumonia, COP)
二次性間質性肺炎
- 他の疾患に関連:間質性肺炎は、他の全身性疾患や外的要因によっても引き起こされることがあります。以下はその例です:
- 膠原病関連:リウマチ性疾患(例:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症)
- 職業性疾患:アスベスト曝露、シリカ曝露
- 薬剤誘発性:一部の化学療法薬や抗生物質など
- 感染症:特定のウイルスや細菌による感染
3. 症状
- 呼吸困難:運動時や安静時の息切れ
- 乾いた咳:持続する乾性咳嗽
- 疲労感:全身の倦怠感
- 体重減少:食欲不振や体重減少
- 発熱:場合によっては発熱
4. 診断
身体診察と病歴聴取
- 聴診:聴診器で肺の音を聞き、特有のラ音(クラックル)を確認。
画像診断
- 胸部X線:肺の間質の変化や線維化を確認。
- 高分解能CT(HRCT):詳細な肺の画像を得るために使用され、線維化の程度や分布を評価。
肺機能検査
- スパイロメトリー:肺活量や気流の測定。間質性肺炎ではしばしば拘束性換気障害が見られます。
- ガス交換能力:肺の酸素と二酸化炭素の交換能力を評価。
血液検査
- 炎症マーカー:CRPや血沈(ESR)など。
- 膠原病関連抗体:膠原病の存在を確認するための自己抗体検査。
生検
- 外科的肺生検:組織サンプルを取り、顕微鏡で検査する。確定診断や病態の評価に使用。
5. 治療
薬物療法
- 抗炎症薬:コルチコステロイド(例:プレドニゾロン)で炎症を抑える。
- 免疫抑制薬:アザチオプリンやシクロフォスファミドなどの免疫抑制薬を併用することがあります。
- 抗線維化薬:特発性肺線維症(IPF)に対して、ピルフェニドンやニンテダニブなどが使用されることがあります。
酸素療法
- 酸素投与:低酸素血症の管理のために酸素療法が行われます。
肺移植
- 重症例:治療に反応しない重症例では肺移植が考慮されることがあります。
6. 予後と管理
予後
- 特発性肺線維症(IPF)は進行性で予後が悪いことが多いですが、他のタイプの間質性肺炎は治療により症状が改善する場合もあります。
定期的なフォローアップ
- 定期的な診察と検査で病状の進行をモニタリングし、治療方針を適宜見直します。
まとめ
間質性肺炎は多岐にわたる疾患群であり、その診断と治療は複雑です。早期の診断と適切な治療、定期的なフォローアップが重要であり、症状が現れた場合やリスクの高い人々は専門医の診察を受けることが推奨されます。