呼吸療法認定士の試験問題例題10問

以下に、呼吸療法認定士の試験に関連する分野からの例題を10問提示します。

例題1: 酸素療法に関する問題

問題: 酸素療法を行う際に使用される酸素濃縮器の最大酸素供給濃度はどの程度ですか?

  • A) 21%
  • B) 40%
  • C) 60%
  • D) 90%

解答: D) 90%
解説: 酸素濃縮器は、通常、90%前後の高濃度酸素を供給することができますが、患者の呼吸状態や機器の設定により異なる場合があります。


例題2: 人工呼吸器に関する問題

問題: 人工呼吸器のPEEP(Positive End-Expiratory Pressure: 呼気終末陽圧)の主な役割は次のうちどれですか?

  • A) 気道抵抗の増加
  • B) 肺胞の虚脱を防ぐ
  • C) 呼吸数の増加
  • D) 心拍数の低下

解答: B) 肺胞の虚脱を防ぐ
解説: PEEPは呼気終末に気道内に一定の陽圧を保持することで、肺胞の虚脱を防ぎ、酸素化を改善する役割を持ちます。


例題3: 気管挿管に関する問題

問題: 気管挿管を行う際の最適な体位は次のうちどれですか?

  • A) 仰臥位
  • B) ファウラー位
  • C) スニフィングポジション
  • D) 側臥位

解答: C) スニフィングポジション
解説: スニフィングポジション(嗅ぐ姿勢)は気道を確保しやすい位置で、気管挿管時に適した体位です。頸部を伸展させ、頭部をやや後屈させることで、視野が確保されやすくなります。


例題4: 呼吸器疾患に関する問題

問題: 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に最も有効とされる長時間作用型β2作動薬はどれですか?

  • A) サルメテロール
  • B) イプラトロピウム
  • C) プレドニゾロン
  • D) サルブタモール

解答: A) サルメテロール
解説: サルメテロールは長時間作用型β2作動薬であり、COPDや喘息の管理において有効です。気管支拡張作用が長時間持続するため、日常的な症状のコントロールに使用されます。

例題5: 吸入療法に関する問題

問題: ネブライザーを用いた吸入療法において、適切な吸入薬を選択する上で重要な要因は次のうちどれですか?

  • A) 薬物の分子量
  • B) 患者の体重
  • C) 患者の肺機能
  • D) 患者の心拍数

解答: C) 患者の肺機能
解説: 吸入療法では、患者の肺機能や病態に応じて適切な薬剤を選択することが重要です。吸入薬は、主に気道を拡張するためや炎症を抑える目的で使用されます。


例題6: 呼吸不全に関する問題

問題: 急性呼吸不全の患者に対する初期治療として、最も優先されるべき措置は次のうちどれですか?

  • A) 心拍数のモニタリング
  • B) 血糖値の測定
  • C) 気道確保と酸素投与
  • D) 血圧の測定

解答: C) 気道確保と酸素投与
解説: 急性呼吸不全では、まず気道を確保し、十分な酸素供給を行うことが最も重要な初期措置です。酸素飽和度を維持し、呼吸状態の改善を図ります。


例題7: 人工呼吸器の設定に関する問題

問題: 人工呼吸器を使用する患者において、1回換気量(Tidal Volume)を適切に設定する際の基準として、次のうち最も適切な指標はどれですか?

  • A) 体重に基づく計算
  • B) 年齢に基づく計算
  • C) 呼吸数に基づく計算
  • D) 血圧に基づく計算

解答: A) 体重に基づく計算
解説: 人工呼吸器の1回換気量は、通常、患者の理想体重(IBW)に基づいて設定されます。一般的には、6-8 ml/kgの換気量が推奨されており、これにより肺の過伸展や損傷を防ぐことができます。


例題8: ARDSに関する問題

問題: 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療において、肺保護換気法として推奨される1回換気量は次のうちどれですか?

  • A) 12-15 ml/kg
  • B) 10-12 ml/kg
  • C) 8-10 ml/kg
  • D) 4-6 ml/kg

解答: D) 4-6 ml/kg
解説: ARDS患者では、肺の過度な伸展を防ぐために、低換気量(4-6 ml/kg)を使用した肺保護換気が推奨されます。これにより、機械的な損傷(バロトラウマやヴォルトラウマ)のリスクが低減します。


例題9: 血液ガス分析に関する問題

問題: 次の血液ガス分析結果に基づいて、呼吸性アシドーシスと診断される可能性があるのはどれですか?

  • pH 7.30, PaCO2 55 mmHg, HCO3 24 mEq/L
  • A) 呼吸性アルカローシス
  • B) 呼吸性アシドーシス
  • C) 代謝性アシドーシス
  • D) 代謝性アルカローシス

解答: B) 呼吸性アシドーシス
解説: 呼吸性アシドーシスは、PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)が上昇し、それによってpHが低下する状態です。この結果は、CO2の蓄積による呼吸不全を示しています。


例題10: 非侵襲的換気(NIV)に関する問題

問題: 非侵襲的陽圧換気(NIV)の適応とされるのは次のうちどの状態ですか?

  • A) 気管挿管が必要な状態
  • B) 急性低酸素性呼吸不全
  • C) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪
  • D) 急性心筋梗塞

解答: C) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪
解説: 非侵襲的陽圧換気(NIV)は、COPDの急性増悪時に有効な治療法として知られています。気道を確保しながら、呼吸作業を軽減し、酸素化を改善します。

これらの問題は、呼吸療法における重要なテーマをカバーしており、試験準備に役立つ内容です。これらのような問題を解くことで、実際の試験に対する理解を深めることができます。試験対策としては、公式テキストや模擬試験問題を通じて、これらの知識をさらに深めることが重要です。