将来の年金額については、いくつかの要因に左右されるため、30年後以降にいくら年金がもらえるかを正確に予測するのは難しいですが、現在の制度と将来の見通しから大まかなシナリオを考えることは可能です。
年金額に影響する要因
- 人口減少と高齢化: 日本は少子高齢化が進んでおり、将来的に年金受給者の数が増え、年金保険料を支払う現役世代の数が減ると予測されています。これにより、年金制度にかかる負担が増え、将来の年金支給額が減る可能性があります。
- 経済成長・インフレ: 経済の成長や物価の変動によって、年金額は見直されます。年金は「物価スライド制」といって、インフレが起きた場合はある程度年金額が上昇しますが、デフレの際には年金額が減額されることもあります。
- 年金制度の改革: 将来的に、年金制度の改革が行われる可能性があります。例えば、支給開始年齢の引き上げや、支給額の減少が議論されており、現行制度とは異なる形で年金が支給される可能性があります。
- 受給開始年齢: 現在は65歳から年金が支給されますが、将来的には支給開始年齢が67歳や70歳になるという議論も進んでいます。受給開始が遅れれば、その間の生活費をどうするかという問題もあります。
現行の年金モデル
現行の国民年金(基礎年金)や厚生年金のモデルを基に、30年後以降の年金額の予測を行うための目安として、2023年時点のモデルケースを確認します。
- 国民年金(基礎年金): 現行の基礎年金の満額は、2023年時点で**月額約65,000円(年額約78万円)**です。
- 厚生年金: 厚生年金は加入期間や給与水準によって異なりますが、サラリーマンの場合、標準的なモデルケース(平均的な給与水準で40年間働いた場合)では、**月額約14~15万円(年額約170~180万円)**が支給されています。
現行制度を基にした予測
30年後(2054年頃):の年金額の予測
将来の年金額を予測するためには、人口減少、経済成長、インフレ率など多くの変数が関係します。年金財政の見通しは、長期的には非常に厳しいとされており、支給額が減少する可能性が高いです。
- 年金支給額が減少する可能性: 一部のシミュレーションによれば、30年後には年金支給額が現在の70%程度に減少する可能性があると予測されています。つまり、現在の基礎年金が約65,000円だとすると、30年後には約45,500円/月に減少することが考えられます。
- 支給開始年齢の引き上げ: 支給開始年齢が65歳から67歳、あるいは70歳に引き上げられる可能性があります。これにより、支給額は同じでも、実際に受け取る期間が短くなることが懸念されます。
40年後(2064年頃):
- 現在、年金支給額は少子高齢化の進行とともに徐々に削減されています。40年後には、人口減少の影響がさらに強くなるため、現行の年金支給額の50~60%程度に減少する可能性があります。
- たとえば、現在の基礎年金月額が約65,000円であれば、40年後には約32,500~39,000円程度になるかもしれません。
- 厚生年金についても、現行の月額約14~15万円が約7~9万円に減少する可能性があります。
50年後(2074年頃):
- 50年後になると、さらに支給額が減少し、現行の**40~50%**程度になる可能性があります。
- たとえば、現在の基礎年金月額約65,000円が約26,000~32,500円になる可能性があります。
- 厚生年金も、現在の14~15万円が約6~7.5万円に減少するシナリオが考えられます。
将来の年金支給額の例(予測)
30年後の年金支給額(予測)
年金種類 | 現行(2023年) | 30年後の予測(30%減) |
---|---|---|
基礎年金(月額) | 約65,000円 | 約45,500円 |
厚生年金(月額) | 約140,000~150,000円 | 約98,000~105,000円 |
40年後の年金支給額(予測)
年金種類 | 現行(2023年) | 40年後の予測(60%減) |
---|---|---|
基礎年金(月額) | 約65,000円 | 約32,500~39,000円 |
厚生年金(月額) | 約140,000~150,000円 | 約84,000~90,000円 |
50年後の年金支給額(予測)
年金種類 | 現行(2023年) | 50年後の予測(50~60%減) |
---|---|---|
基礎年金(月額) | 約65,000円 | 約26,000~32,500円 |
厚生年金(月額) | 約140,000~150,000円 | 約70,000~75,000円 |
支給開始年齢の引き上げ
- 現行の65歳支給開始が、将来67歳、あるいは70歳になることがほぼ確実視されています。さらに、50年後には70歳以上になる可能性もあります。これにより、実際に年金を受け取る期間が短くなり、老後の生活を年金だけで支えることはますます難しくなるでしょう。
年金額を補う方法
- 個人の年金積み立て: 公的年金の減少を見越して、多くの人が民間の年金保険や積立型の金融商品(iDeCo、NISAなど)を利用しています。これにより、将来的な年金不足を補うことが期待されます。
- 長期にわたる労働: 60歳や65歳以降も働くことを前提にして、老後資金を確保する人も増えています。
- 生活スタイルの見直し: 支出を抑えるため、老後の生活費や生活スタイルを早めに見直して、リタイア後の計画を立てることが重要です。
まとめ
- 将来の年金支給額は減少する可能性が高いです。現行制度では、30年後には基礎年金が70%程度に減少するとの見通しがあります。40~50年後の年金額は、現行の支給額から40~60%減少する可能性が高いと予測されます。
- 支給開始年齢の引き上げも検討されています。将来は67歳や70歳からの支給になる可能性があります。
- 公的年金に頼るだけでなく、個人の貯蓄や資産運用、働き続けることが重要になると考えられています。
長期的な視点で老後の生活設計を考え、早めに対策を講じることが大切です。