レンズを挿入する治療は、視力矯正手術の一つで 有水晶体眼内レンズ挿入術(ICL: Implantable Collamer Lens) と呼ばれます。レーシックとは異なり、角膜を削らずに矯正するため、特に角膜が薄い人や強度近視の人に向いています。以下に治療の概要、費用、入院の必要性、予後について詳しく説明します。
ICL(有水晶体眼内レンズ挿入術)の概要
- 治療の仕組み
- コンタクトレンズのような人工レンズを目の中に挿入して視力を矯正します。
- 角膜と水晶体の間にレンズを配置するため、自然な視力矯正が可能。
- レンズは永久的に使用可能ですが、取り外しや交換も容易。
- 適応範囲
- 強度近視、中度遠視、乱視の矯正が可能。
- レーシックが適応外の人(角膜が薄い、乾燥しやすい目など)にも適用されます。
- 手術の流れ
- 術前検査で目の形状や視力状態を詳しく測定。
- カスタムメイドのレンズを発注(数週間かかる場合あり)。
- 局所麻酔下で手術を実施(片目10~20分程度)。
- 翌日には通常の視力が回復。
費用の内訳
ICLは保険適用外の自由診療のため、治療費は全額自己負担となります。
- 術前検査費用
- 10,000~30,000円 精密検査を含む。クリニックによっては治療費に含まれることもあります。
- レンズ費用
- 強度近視の場合は費用が高くなる傾向があります。
- 300,000~400,000円/片目
- 手術費用
- 50,000~150,000円/片目 レンズ挿入に伴う技術料。
- 術後検診費用
- 多くの場合、術後1年程度の検診は無料。
- 総費用
- 両目で約600,000~800,000円が一般的。
入院の有無
- 入院は不要
- 手術は日帰りで可能です。
- 術後2~3時間程度の安静を経て帰宅可能。
予後(術後のケアと注意事項)
- 術後の視力回復
- 翌日から視力が回復し始め、数日で安定します。
- 強い近視や乱視の場合でも高い矯正精度が得られます。
- 術後のケア
- 抗菌薬や抗炎症点眼薬を数週間使用。
- 一時的に目が乾燥したり、違和感が生じる場合あり。
- リスクと副作用
- 夜間のハロー・グレア(光がにじむ現象)。
- ごくまれに眼圧上昇や炎症のリスクがあるため、定期的な眼科検診が必要。
- 長期的な管理
- レンズは取り外し可能なため、眼の状態や年齢による視力変化に対応可能。
- 長期的な合併症のリスクを避けるため、定期的な検診が推奨されます。
ICLのメリットとデメリット
メリット
- 角膜を削らないため、眼の構造に影響を与えない。
- 強度近視や乱視に対応可能。
- レンズの取り外しや交換が可能で、可逆性がある。
デメリット
- 高額な治療費(レーシックより費用が高い)。
- 手術自体のリスク(眼内感染、眼圧上昇)。
- 長期間のメンテナンスが必要。
レーシックとICLの比較
項目 | レーシック | ICL |
---|---|---|
適応範囲 | 軽度~中等度の近視・乱視 | 強度近視や角膜薄い人向け |
手術の仕組み | 角膜を削る | 目にレンズを挿入 |
費用 | 200,000~500,000円 | 600,000~800,000円 |
可逆性 | なし | あり |
視力の安定 | 数週間で安定 | 数日で安定 |
まとめ
ICLは、特にレーシックが適応外の患者や強度近視の方に有効な視力矯正方法です。手術は安全性が高く、視力矯正の精度も優れていますが、費用が高額であるため、慎重な検討が必要です。適応検査や費用見積もりを受けるために、専門医への相談をおすすめします。また、医療費控除が適用される場合があるため、税金の面でのメリットも考慮すると良いでしょう。