レーシック(LASIK)とICL(有水晶体眼内レンズ挿入術)の詳細な比較を、適応範囲や効果、リスク、費用などの観点からまとめます。それぞれの特徴を理解し、自分に適した治療を選ぶ参考にしてください。
1. 適応範囲
項目 | レーシック | ICL |
---|---|---|
適応範囲 | 軽度~中等度の近視(-1.0~-6.0D) 軽度乱視 | 強度近視(-6.0D以上)、角膜が薄い、乾燥しやすい目にも対応 |
適応の条件 | 角膜厚が十分にあること(削るための余裕が必要) | 眼内構造が正常であること 前房深度が2.8mm以上(レンズのスペースが必要) |
非適応者 | 強度近視、角膜が薄い人 | 白内障や緑内障のリスクが高い人、眼内手術に抵抗がある人 |
2. 手術方法とプロセス
項目 | レーシック | ICL |
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手術の仕組み | 角膜をエキシマレーザーで削り、屈折異常を矯正 | 人工レンズを目の中(虹彩と水晶体の間)に挿入し、屈折異常を矯正 |
侵襲性 | 角膜を削るため不可逆 | 角膜を削らないため可逆 |
手術時間 | 約10~20分/片目 | 約20~30分/片目 |
入院の有無 | 日帰り可能 | 日帰り可能 |
3. 効果と視力回復
項目 | レーシック | ICL |
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視力の安定性 | 手術後数週間で安定 | 手術後数日で安定 |
視力矯正の精度 | 高いが、角膜削除量に依存 | 高精度(特に強度近視ではICLの方が効果的) |
可逆性 | なし | レンズの取り外しや交換が可能 |
4. リスクと副作用
項目 | レーシック | ICL |
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主なリスク | – 角膜炎や感染症 – ハロー・グレア(夜間視力障害) – ドライアイ | – 眼内感染(稀) – ハロー・グレア(夜間視力障害) – 眼圧上昇(ICL特有のリスク) |
リスク発生率 | 低いが、角膜薄い場合のリスク増大 | 低いが、定期的な眼内検査が必要 |
長期的な影響 | 加齢により視力が再び低下する場合あり | レンズが変化しないため視力安定性が高い |
5. 費用
項目 | レーシック | ICL |
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術前検査 | 約10,000~30,000円 | 約10,000~30,000円 |
手術費用 | 両目で約200,000~500,000円 (手術の種類やクリニックによる) | 両目で約600,000~800,000円 |
術後検診 | 初期検診は無料、長期検診は5,000~10,000円/回 | 初期検診は無料、長期検診は5,000~10,000円/回 |
総費用 | 20~50万円 | 60~80万円 |
6. メリットとデメリット
レーシック
- メリット
- コストが比較的安い。
- 手術時間が短く、術後回復も早い。
- メガネやコンタクト不要の生活が可能。
- デメリット
- 角膜を削るため、後戻りができない。
- 強度近視や角膜が薄い場合は適応外。
ICL
- メリット
- 強度近視や角膜が薄い場合でも適応可能。
- レンズが可逆的で、取り外しや交換が可能。
- 加齢による視力変化にも柔軟に対応。
- デメリット
- 費用が高額。
- 手術自体が高度な技術を要し、リスクが完全にゼロではない。
まとめ:どちらが適しているか?
レーシックがおすすめな人
- 軽度~中度の近視・乱視で、角膜の厚さが十分な人。
- コストを抑えたい人。
- 矯正が必要な屈折異常が比較的軽い人。
ICLがおすすめな人
- 強度近視(-6.0D以上)や角膜が薄い人。
- 将来的な変更や取り外しの選択肢を確保したい人。
- 精度の高い視力矯正を希望する人。
レーシックとICLはそれぞれ異なる適応範囲と特徴があります。自身の視力や目の健康状態、ライフスタイル、予算を考慮し、専門医と相談して最適な選択を行いましょう。