ミュータンス菌は、子供が3歳までに感染することが虫歯リスクを高めるとされています。特に、生後19か月から31か月(おおよそ1歳半から2歳半)の間が「感染の窓(Window of Infectivity)」と呼ばれ、この期間中にミュータンス菌に感染すると、後の虫歯リスクが大きくなることがわかっています。
なぜこの期間が重要なのか?
1. 乳歯の生え始め
- 生後6か月頃から乳歯が生え始めますが、乳歯が生えるとミュータンス菌が定着しやすくなります。特に奥歯が生える時期(1歳半頃)は、歯垢がたまりやすく菌が付着するリスクが高まります。
2. 口腔内環境の形成
- 3歳頃までに口腔内の細菌環境が大きく決まり、その後もその環境が続く傾向があります。この時期にミュータンス菌が多く定着すると、虫歯になりやすい環境が形成されてしまいます。
3. 子供の免疫力の未熟さ
- 子供の免疫システムがまだ十分に発達していないため、感染を防ぐ力が弱く、細菌の増殖を抑えきれないことがあります。
感染すると良くない理由
- 早期感染が虫歯リスクを増大
ミュータンス菌が早期に定着すると、乳歯やその後に生える永久歯も虫歯になりやすくなります。 - 口腔内の細菌バランスが崩れる
ミュータンス菌が増えると、他の良い働きをする細菌が減り、口腔内の健康バランスが崩れます。
予防のポイント
1. 親からの感染を防ぐ
- ミュータンス菌は主に唾液を介して親から子へ伝播します。
- 以下の行動を避けると効果的です:
- 子供の食器やスプーンを親が共有する。
- 親が食べ物を口移しで与える。
- 親が子供のスプーンやおしゃぶりを口に入れる。
2. 親の口腔ケア
- 親の口腔内のミュータンス菌を減らすことが、子供への感染を防ぐために重要です。
- 妊娠中から、親(特に母親)が歯科検診を受け、虫歯や歯周病の治療を行う。
3. 歯磨きの習慣化
- 乳歯が生え始めたらすぐに歯磨きを始める。
- フッ素入りの歯磨き粉を使用することで歯の再石灰化を促進する。
4. 食生活の注意
- 糖分の多い食品や飲料を控え、虫歯菌が増殖する環境を作らない。
もし感染してもどうするか?
感染そのものを完全に防ぐことは難しいですが、早めに対策を取ることで虫歯リスクを下げられます。
- 定期的な歯科検診
子供が1歳頃から定期的に歯科検診を受けることで、虫歯の早期発見や予防処置が可能です。 - フッ素塗布やシーラント
歯科医師によるフッ素塗布や、溝を埋めるシーラント処置で虫歯を予防します。
まとめ
子供が3歳頃までにミュータンス菌に感染することをできるだけ防ぐことが、虫歯リスクを減らすための重要なポイントです。特に、親の行動と口腔ケアが感染予防に大きく影響するため、親自身の口腔健康管理も含めて取り組むことが推奨されます。