急性アルコール中毒に対する治療方法について

急性アルコール中毒に対する医療行為

急性アルコール中毒(急性エタノール中毒)は、過剰なアルコール摂取によって意識障害や呼吸抑制が起こる危険な状態です。医療機関では、以下のような対応が行われます。


1. 生命維持の確保(ABCアプローチ)

まず、患者の呼吸や循環の状態を評価し、必要に応じて介入します。

① 気道(A: Airway)確保

  • 嘔吐による誤嚥防止のため、頭位を側臥位(横向き)にする
  • 意識レベルが低下し、自発呼吸が弱い場合は、気管挿管して人工呼吸管理

② 呼吸(B: Breathing)の管理

  • 酸素飽和度が低下している場合は酸素投与(マスクまたは鼻カニューレ)
  • 呼吸が抑制されている場合は、人工呼吸器を使用

③ 循環(C: Circulation)の管理

  • 脱水や低血圧がある場合は、**輸液(点滴)**で循環維持
  • 低血糖のリスクがあるため、ブドウ糖(グルコース)を含む輸液を投与

2. アルコールの排出促進

エタノールは主に肝臓で代謝されるため、特効薬はないが、代謝を促進しながら排出をサポートする。

  • 補液療法(生理食塩水や乳酸リンゲル液)
    → 脱水を防ぎ、アルコールの代謝・排出を促進
  • ブドウ糖投与(低血糖予防)
    → 50%ブドウ糖液などを静脈投与(特に意識障害がある場合)
  • ビタミンB1(チアミン)投与
    → ウェルニッケ脳症(意識障害・眼球運動障害・運動失調)を予防

3. 嘔吐や低体温への対応

  • 嘔吐時の誤嚥防止
    → 頭位を**横向き(側臥位)**にして、誤嚥性肺炎を防ぐ
  • 低体温対策
    → 温風加温・毛布で保温し、低体温を防ぐ

4. 重症例(高濃度エタノール血中濃度の場合)

  • 血液透析(HD: Hemodialysis)
    → アルコール血中濃度が極端に高い場合、透析でアルコールを除去(通常、500mg/dL以上)
  • 昏睡状態の場合
    → **集中治療室(ICU)**で人工呼吸管理

5. 精神的ケアとアルコール依存症評価

急性アルコール中毒で入院した患者は、アルコール依存症の可能性も考慮し、

  • 精神科や内科でのアルコール依存の評価
  • 必要に応じてアルコール依存症治療(カウンセリング・断酒指導)

まとめ

急性アルコール中毒の医療行為は、
✅ 生命維持(気道・呼吸・循環の確保)
✅ アルコールの排出促進(輸液・ブドウ糖・ビタミンB1投与)
✅ 誤嚥・低体温・低血糖への対応
✅ 重症例では血液透析やICU管理
といった対応が行われます。

特効薬はないため、予防が最も重要です。