
軽自動車と普通車の維持費を比較すると、税金と保険料、そしてガソリン代の3つの面で、軽自動車が圧倒的に有利です。
以下に、主な維持費の項目ごとに比較します。
1. 税金
税金は、軽自動車と普通車で最も差が出る項目です。
- 自動車税(種別割)
- 軽自動車: 一律で年間10,800円です(2015年4月1日以降に新規登録された自家用軽四輪乗用車)。
- 普通車: エンジン排気量に応じて税額が決まり、排気量が大きいほど高くなります。最も安価な1.0L以下でも年間25,000円、1.0L超~1.5L以下で30,500円と、軽自動車の約2〜3倍になります。
- 自動車重量税
- 軽自動車: 車の重さに関わらず、2年分で6,600円です(エコカー減税対象車を除く)。
- 普通車: 車両重量0.5tごとに税額が加算されます。例えば、車両重量1.5tの車では、2年分で24,600円となり、軽自動車の約4倍にもなります。
項目 | 自動車税(種別割) | 自動車重量税 |
支払タイミング | 毎年1回(5月) | 新車購入時と車検時(2〜3年に1回) |
金額の決まり方 | 排気量 | 車両重量と経過年数 |
支払先 | 都道府県または市区町村 | 国 |
2. 保険料
- 任意保険料: 軽自動車は、普通車に比べて事故率が低いことや、事故時の修理費用や賠償額が比較的安くなる傾向にあるため、保険料が安く設定されています。一般的に、普通車と比べて年間数千円〜数万円の差が生じることが多いです。
- 自賠責保険料: 軽自動車と普通車(小型乗用車)で大きな差はありませんが、わずかに軽自動車の方が安いです。
3. ガソリン代
- 燃費: 軽自動車は車体が軽量で、排気量も小さいため、普通車に比べて燃費が良いモデルが多いです。年間の走行距離が長いほど、ガソリン代の差は大きくなります。
4. 車検費用・メンテナンス費用
- 車検費用: 車検時に支払う法定費用(自動車重量税、自賠責保険料、印紙代)が軽自動車の方が安いため、車検全体の費用も安く済みます。
- メンテナンス費用: 軽自動車は部品が小型で、構造も比較的シンプルであるため、交換部品代や工賃が普通車より安くなる傾向があります。
維持費を1年分でシミュレーション
軽自動車と普通車の維持費を1年分で具体的にシミュレーションしてみましょう。
ここでは、一般的な車種と条件を想定して比較します。
【シミュレーションの前提条件】
- 車種:
- 軽自動車: 一般的な軽自動車(例: 排気量660cc以下)
- 普通車: コンパクトカー(例: 排気量1.5L、車両重量1.5t以下)
- 年間走行距離: 10,000km
- ガソリン価格: 170円/L
- 燃費:
- 軽自動車: 20.0km/L
- 普通車: 15.0km/L
- 駐車場代: 月額10,000円
- 任意保険: 20代〜30代、新規契約(6等級)、ゴールド免許、一般的な補償内容を想定
1. 税金(1年分)
- 自動車税(種別割)
- 軽自動車: 10,800円
- 普通車: 30,500円(1.0L超~1.5L以下)
- 自動車重量税
- これは2年分を車検時にまとめて支払うため、1年あたりに換算して計算します。
- 軽自動車: 6,600円 ÷ 2年 = 3,300円
- 普通車: 24,600円 ÷ 2年 = 12,300円(1.5t以下の車両)
2. 燃料代(1年分)
- 軽自動車: 10,000km ÷ 20.0km/L × 170円/L = 85,000円
- 普通車: 10,000km ÷ 15.0km/L × 170円/L = 113,333円
3. 保険料(1年分)
- 自賠責保険料: 2年分で支払うため、1年あたりに換算。
- 軽自動車: 17,540円 ÷ 2年 = 8,770円
- 普通車: 17,650円 ÷ 2年 = 8,825円
- 任意保険料: 契約者の条件によって大きく変動するため、ここでは平均的な目安を算出します。
- 軽自動車: 約50,000円
- 普通車: 約70,000円
4. その他
- 駐車場代:
- 軽自動車・普通車共通: 10,000円 × 12ヶ月 = 120,000円
- メンテナンス費用: オイル交換、タイヤ代、バッテリー代など。車種や使用状況によって変動。
- 軽自動車: 約20,000円
- 普通車: 約30,000円
- 車検代:
- 車検費用は2年に1回発生します。ここでは1年あたりの積立額として計算します。
- 軽自動車: 80,000円 ÷ 2年 = 40,000円
- 普通車: 120,000円 ÷ 2年 = 60,000円
年間維持費の比較表(合計)
項目 | 軽自動車 | 普通車 | 差額 |
自動車税 | 10,800円 | 30,500円 | +19,700円 |
自動車重量税 | 3,300円 | 12,300円 | +9,000円 |
ガソリン代 | 85,000円 | 113,333円 | +28,333円 |
自賠責保険料 | 8,770円 | 8,825円 | +55円 |
任意保険料 | 50,000円 | 70,000円 | +20,000円 |
駐車場代 | 120,000円 | 120,000円 | 0円 |
メンテナンス費用 | 20,000円 | 30,000円 | +10,000円 |
車検積立額 | 40,000円 | 60,000円 | +20,000円 |
合計 | 337,870円 | 444,958円 | +107,088円 |
※このシミュレーションはあくまで目安であり、車種、年式、保険の等級、ガソリン価格、居住地域などによって変動します。
シミュレーション結果の考察
このシミュレーションから、年間で10万円以上も維持費に差が出ることがわかります。特に、税金、ガソリン代、任意保険料の3つの項目が大きな差を生み出す要因となっています。
これらの結果は、軽自動車が「経済性」を最大のメリットとしていることを裏付けています。一方で、普通車は軽自動車にはない走行性能や安全性のメリットを提供しているため、どちらを選ぶかは、個人のライフスタイルや価値観によって決めるべきでしょう。