ゆうちょ銀行のメリットとデメリット、おすすめの人や利率について

ゆうちょ銀行は、旧郵政省の郵貯事業を引き継いだ経緯から、他のメガバンクやネット銀行とは一線を画す独自の特徴を持っています。

以下に、ゆうちょ銀行の主なメリットとデメリットをまとめました。

メリット

  1. 全国を網羅する圧倒的なネットワーク
    • 店舗数・ATM数が国内最多: 全国に約24,000の郵便局があり、そのほとんどに窓口とATMが設置されています。地方や離島を含め、日本全国どこでも利用しやすいのが最大の強みです。
    • 転居しても安心: 転勤や引っ越しが多い人でも、銀行を乗り換える必要がなく、使い続けられます。
  2. ATMの利用利便性が高い
    • 手数料無料時間が長い: ゆうちょ銀行や郵便局内に設置されたATMは、原則として全時間帯・土日祝日も手数料無料で入出金できます(一部の提携ATMやコンビニATMでは手数料がかかる時間帯があります)。
  3. 窓口の営業時間
    • 比較的長い営業時間: 一般的な銀行窓口が15時までなのに対し、ゆうちょ銀行の窓口は16時まで開いていることが多く、日中に忙しい方でも利用しやすい場合があります。
  4. 独自の貯金商品
    • 定額貯金: 預入後6ヶ月を過ぎればいつでも払い戻しが可能で、満期(最長10年)までは半年ごとに金利が複利で適用される、自由度と利便性の高い商品があります。
  5. 高い信頼感と公共性
    • 長年の歴史と公共性の高さから、特に高齢者層などからの信頼感が非常に高いです。

デメリット

  1. 振込手数料が高い傾向
    • 他行宛振込手数料: ネット銀行などと比べると、他行宛の振込手数料が割高に設定されているケースが多く、頻繁に他行へ振り込む人にはデメリットになります。
    • 同行宛も有料の場合あり: 他の銀行では無料のことが多い「同行宛(ゆうちょ銀行間)」の振替・振込でも、ATMや窓口を利用すると手数料がかかる場合があります。(ゆうちょダイレクト利用で月数回無料などの優遇はあります)
  2. 預入限度額の制限
    • 1,300万円の制限: 1人あたりの預入限度額(通常貯金と定期性貯金の合計)が1,300万円と定められています。多額の貯蓄を考えている人にとっては、他の銀行と併用する必要があります。(注: 決済用預金を除く
  3. 金利が低い
    • メガバンクと同程度: ネット銀行と比較すると、通常貯金・定期貯金ともに金利が低いため、「お金を増やす」という点では不利になります。
  4. インターネットバンキングの機能性(ゆうちょダイレクト)
    • 他行に比べてシンプル: ネット銀行やメガバンクのアプリに比べ、機能が限られていたり、操作性やサービス連携の面で物足りなさを感じるユーザーもいます。

ゆうちょ銀行が特におすすめな人

1. 全国どこでもATM・窓口を使いたい人

  • 転勤や出張が多い人: 日本全国(離島含む)の郵便局に窓口とATMがあるため、どこへ引っ越しても、旅行先でも、急な現金の入出金に困ることがありません。全国を飛び回るビジネスパーソンや転勤族の方に非常に便利です。
  • 地方在住で身近な銀行を求める人: 都市部の銀行の支店がない地域でも、郵便局は身近な存在であることが多いため、日常的な利用に便利です。

2. 現金での取引が多い人・ATM利用が多い人

  • 手数料を抑えたい人: 郵便局やゆうちょ銀行に設置されたATMでの入出金は、原則として土日祝日を含め、終日手数料無料です。ATMの利用頻度が高い「現金派」の人にとって、手数料コストを抑える大きなメリットとなります。
  • 通帳での取引に慣れている人: ゆうちょ銀行の窓口は比較的遅い時間(16時まで)まで開いているため、通帳を使った入出金や手続きを窓口で行いたい人に適しています。

3. 信頼感や安心感を重視する人

  • 銀行に「安心」を求める人: 長い歴史と全国的な公共インフラとしての実績があるため、「安心感」や「信頼性」を最優先したい高齢の方や、初めて口座を持つ人におすすめです。
  • 家族・親戚間でのお金のやり取りが多い人: 多くの人がゆうちょ銀行の口座を持っているため、家族や親戚間でのお金のやり取り(電信振替)がスムーズで、手数料も抑えられます(ゆうちょダイレクト利用で月数回無料など)。

4. 貯金に「定額貯金」を利用したい人

  • 使い道の決まっていない貯蓄をしたい人: ゆうちょ銀行独自の「定額貯金」は、預入後6ヶ月を過ぎればいつでも払い戻しができ、流動性が高い貯金商品です。「急に使うかもしれないが、普通預金よりは少しでも有利に貯めておきたい」という人に向いています。

ネット銀行との使い分け

ゆうちょ銀行は「安心」と「利便性(リアルネットワーク)」に強みがありますが、金利面や他行への振込の安さではネット銀行に劣ります。

そのため、多くの場合、ゆうちょ銀行を**「生活資金や緊急資金を入れるメイン口座」として使い、「高金利で資産を増やしたいお金」や「他行への振込が多い取引」にはネット銀行**をサブ口座として併用する、といった使い分けが最も効率的です。

ゆうちょ銀行の金利について

ゆうちょ銀行の金利は、一般的にメガバンクと同水準であり、ネット銀行と比べると低い傾向にあります。

最新の金利は金融情勢によって変動しますが、参考として現在の水準と、他行との比較を説明します。

(※提示する金利は、すべて税引前年利率であり、2025年9月現在の一般的な水準に基づいています。最新かつ正確な金利は、必ずゆうちょ銀行の公式サイトでご確認ください。)

1. ゆうちょ銀行の主な金利(一般的な水準)

商品名利率(年)特徴
通常貯金(普通預金)0.200% 程度いつでも出し入れ自由な、日常使いの口座の金利です。
定額貯金(1年)0.275% 程度預入期間が長いほど金利が高くなる傾向があります。6ヶ月経過後はいつでも引き出し可能です。
定期貯金(1年)0.275% 程度満期まで原則引き出せない貯金です。定額貯金とほぼ同水準です。

注:ゆうちょ銀行は、2024年3月の日銀の金融政策変更(マイナス金利解除)を受け、2025年9月現在、多くの銀行と同様に普通預金金利を0.001%から0.200%程度に引き上げています。

2. 他の銀行との比較

日本の金融機関の金利水準は、大きく分けて以下の3つのタイプに分けられます。

銀行のタイプ普通預金金利の目安特徴と利用のポイント
ゆうちょ銀行0.200% 程度全国どこでも使えて、ATM手数料が無料になる時間帯が長いなど「利便性」に強みがあります。
メガバンク (三菱UFJ, 三井住友, みずほなど)0.200% 程度ゆうちょ銀行とほぼ同じ水準です。「窓口対応」「総合的なサービス」に強みがあります。
ネット銀行 (SBI新生, auじぶん, あおぞらBANKなど)0.210% ∼ 0.60% 程度証券口座との連携や給与振込などの優遇条件を満たすことで、**0.4%〜0.6%**といった高い金利が適用される場合があります。「高金利」を求めるならネット銀行が有利です。

金利の観点からのおすすめ

  • 金利の高さを最優先するなら、ネット銀行の、優遇金利が適用される口座を選ぶのがおすすめです。
  • **「安心感」「全国どこでもの利便性」**を重視し、金利は二の次と考えるなら、ゆうちょ銀行で問題ありません。

繰り返しになりますが、金利は金融機関や経済状況によって頻繁に変わるため、最新の情報は必ず各銀行の公式サイトで確認してください。