性感染症について(特徴、日本、世界では?)

主要な性感染症の特徴

性感染症(STI: Sexually Transmitted Infections)とは、性的接触を通じて感染する病気のことを指します。性感染症の特徴と、日本および世界における患者数についてまとめました。

  1. クラミジア感染症
    • 特徴: 多くの場合無症状ですが、症状が出る場合は排尿時の痛みや異常な分泌物が見られます。放置すると不妊症の原因になります。
    • 治療: 抗生物質(アジスロマイシンやドキシサイクリン)で治療可能。
  2. 淋病(ゴノレア)
    • 特徴: 尿道炎、排尿痛、膿性分泌物が一般的な症状。女性では多くの場合無症状です。
    • 治療: 抗生物質(セフトリアキソンやアジスロマイシン)で治療可能。ただし、耐性菌の出現が問題となっています。
  3. 梅毒
    • 特徴: 感染後、初期には硬性下疳と呼ばれる無痛の潰瘍ができ、進行すると発疹や全身症状が現れます。さらに進行すると深刻な合併症を引き起こします。
    • 治療: ペニシリン系抗生物質で効果的に治療可能。
  4. 性器ヘルペス
    • 特徴: 性器や周辺に痛みを伴う水疱や潰瘍が現れます。再発することが多いです。
    • 治療: 抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)で症状の管理が可能。
  5. ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症
    • 特徴: 性器にイボができるタイプ(尖圭コンジローマ)や、高リスク型は子宮頸がんなどの原因となります。
    • 治療: ワクチンによる予防が有効。イボの除去は医療処置が必要です。
  6. HIV/AIDS
    • 特徴: 免疫系を攻撃し、エイズ発症まで無症状の期間が長い。エイズ発症後は免疫不全により様々な感染症や癌が発生します。
    • 治療: 抗レトロウイルス療法(ART)で進行を抑制可能。
  7. B型肝炎
    • 特徴: 肝臓の炎症を引き起こし、急性または慢性肝炎を発症。重症化すると肝硬変や肝がんに進行することがあります。
    • 治療: ワクチンによる予防が有効。抗ウイルス薬で慢性感染の管理が可能。
  8. トリコモナス症
    • 特徴: 女性では膣炎を引き起こし、悪臭のある分泌物やかゆみが生じる。男性では多くの場合無症状。
    • 治療: メトロニダゾールやチニダゾールで治療可能。

日本における性感染症の患者数(2022年)

  1. クラミジア感染症
    • 患者数: 約30,000~40,000件
    • 傾向: 若年女性(10代後半から20代前半)に多い。
  2. 淋病
    • 患者数: 約5,000~7,000件
    • 傾向: 若年男性に多く見られる。
  3. 梅毒
    • 患者数: 約7,000~8,000件
    • 傾向: 特に若年層の男性と女性に多い。
  4. 性器ヘルペス
    • 患者数: 年間数千件と推定。
    • 傾向: 再発することが多い。
  5. HIV/AIDS
    • 新規感染者数: 約1,000~1,500件
  6. B型肝炎
    • 新規感染者数: 数百件程度
  7. トリコモナス症
    • 患者数: 約1,000件前後

世界における性感染症の患者数(2020年頃の推定)

  1. クラミジア感染症
    • 年間新規感染者数: 約1億2900万件
  2. 淋病
    • 年間新規感染者数: 約8700万件
  3. 梅毒
    • 年間新規感染者数: 約650万件
  4. 性器ヘルペス
    • 感染者数: 約5億人(HSV-2による)
  5. ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症
    • 新規感染者数: 約2億9000万件
  6. HIV/AIDS
    • 新規感染者数: 約170万人
    • 総感染者数: 約3800万人
  7. トリコモナス症
    • 年間新規感染者数: 約1億5600万件

性感染症は世界中で広く見られ、各国で異なる感染状況が報告されています。日本では特に若年層に多くの感染が見られますが、世界的には開発途上国での感染率が高い傾向にあります。感染予防には性教育の強化や検査・治療の普及が重要です。最新の具体的な数値や詳細な情報については、各国の公衆衛生機関やWHOなどの公式サイトを参照することをお勧めします。

性感染症って症状はどんなものがある?なったと思ったら病院行くしかない?予後はどうなのか?