【比較】その「長引く胃もたれ」は胆嚢炎かも? 慢性胆嚢炎の症状と、急性胆嚢炎との決定的な違い

以下は 慢性胆嚢炎(まんせいたんのうえん) の特徴を、急性胆嚢炎と比較しながら簡潔にまとめました。


1. 定義

  • 胆嚢の持続的・反復的な軽度炎症
  • 多くは 胆石が長期的に刺激 することで起こる(慢性胆石性胆嚢炎)。
  • まれに胆石なし(無石性慢性胆嚢炎:感染、自己免疫など)。

2. 主な特徴(急性との違い)

項目慢性胆嚢炎急性胆嚢炎
発症徐々に・反復的急激
痛み鈍痛・不快感(右上腹部、みぞおち) 食後(特に脂っこいもの)に悪化激しい持続痛(数時間〜数日)
発熱なし or 微熱高熱・悪寒
炎症軽度・持続的高度・急性
期間数ヶ月〜数年数日〜1週間
合併症胆嚢壁肥厚、胆嚢萎縮、瓷化(石灰化)壊疛、穿孔、腹膜炎

3. 症状(典型例)

  • 食後の右上腹部不快感・鈍痛(30分〜2時間続く)
  • 膨満感・げっぷ
  • 脂っこい食事で悪化(耐性が落ちる)
  • 無症状〜軽症状が長期間続く
  • 胆石発作の既往があることが多い

注意:症状が曖昧で「胃もたれ」「胃炎」と間違われやすい。


4. 検査所見

検査所見
超音波(エコー)① 胆石 ② 胆嚢壁肥厚(≥4mm) ③ 胆嚢変形・萎縮
CT/MRI壁肥厚、瓷化(石灰化)、周囲癒着
血液検査炎症マーカー 正常 or 軽度上昇(CRP、白血球)
内視鏡(ERCP)まれに胆管異常の確認

5. 病理(組織学的特徴)

  • 胆嚢壁の 線維化・肥厚
  • リンパ球などの 慢性炎症細胞浸潤
  • 長期では 胆嚢萎縮・瓷化(カルシウム沈着)

6. 治療

状況対応
軽症・無症状経過観察 + 食事指導
症状が頻発腹腔鏡下胆嚢摘出術(根治)
手術困難時低脂肪食、消化酵素薬、漢方(大柴胡湯など)

手術適応:症状が生活に支障、瓷化胆嚢(がんリスク↑)


7. 合併症・リスク

  • 胆嚢がん(特に瓷化胆嚢:がんリスク10〜25%)
  • 急性胆嚢炎への移行
  • Mirizzi症候群(石で胆管圧迫)

まとめ:慢性胆嚢炎のキーワード

「長引く脂っぽい食事後の右上腹部不快感」
+
「エコーで胆石+壁肥厚」
=
慢性胆嚢炎を疑う

受診の目安


「脂もの後に毎回お腹が重い」「エコーで壁が厚いと言われた」→ 消化器外科 で相談。
手術で 完治 する疾患なので、症状が強い場合は早めに摘出を検討。