
尿路結石(にょうろけっせき)とは?尿路結石は、腎臓から尿道までの尿の通り道(尿路)に石ができる病気です。石は尿の中のミネラル(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)が結晶化してできます。日本では成人男性の約15人に1人、女性の約30人に1人が一生のうちに経験すると言われています。
主な種類
| 種類 | 割合 | 主な原因 |
|---|---|---|
| カルシウム結石(シュウ酸カルシウムなど) | 約80% | シュウ酸やカルシウムの摂りすぎ、脱水 |
| 尿酸結石 | 約10% | プリン体が多い食事(肉・魚介)、痛風 |
| ストルバイト結石(感染結石) | 約5-10% | 尿路感染症(特に女性) |
| シスチン結石 | 1%未満 | 遺伝性疾患(シスチン尿症) |
症状
- 激しい腰や脇腹の痛み(「七転八倒の痛み」と表現される)
- 痛みが背中→下腹部→鼠径部へ移動(結石が移動する)
- 血尿(目に見える場合も、顕微鏡的な場合も)
- 吐き気・嘔吐
- 頻尿、排尿時の痛み
- 発熱(感染を伴う場合)
※小さな結石は無症状で自然に排出されることもあります。
診断
- 問診・身体診察
→ 痛みの場所や強さ、既往歴を確認。 - 画像検査
- CT検査:最も正確(放射線被曝あり)
- 超音波検査:妊婦や子どもに適する
- レントゲン(KUB):カルシウム結石は映るが尿酸結石は映らない
- 尿検査・血液検査
→ 血尿、感染、腎機能、結石の成分のヒントを得る。
治療
1. 自然排出(保存的治療)
- 結石の大きさ 5mm以下 → 約80%が自然に排出
- 水分を1日2-3L以上摂取
- 痛み止め(NSAIDs、ロキソプロフェンなど)
- αブロッカー(タムスロシンなど)→ 尿管を広げて排出促進
2. 外科的治療
| 方法 | 適応 | 特徴 |
|---|---|---|
| 体外衝撃波砕石術(ESWL) | 1cm以下の腎臓・尿管結石 | 体外から衝撃波で石を砕く(日帰り可) |
| 経尿道的尿管砕石術(TUL) | 尿管結石 | 内視鏡でレーザー(ホルミウム)で砕く |
| 経皮的腎砕石術(PNL) | 2cm以上の大きな腎結石 | 背中から腎臓に穴を開けて砕く(入院必要) |
予防(再発率は5年で50%!)
- 水分をたくさん摂る
→ 尿を薄めて結石ができにくくする(1日2L以上、尿の色が薄い黄色が目安) - 塩分を控える(1日6-7g以下)
→ ナトリウムがカルシウムの尿中排泄を増やす - 動物性たんぱく質を控えめに
→ 肉・魚の過食は尿酸やカルシウム結石のリスク↑ - シュウ酸を多く含む食品に注意
→ ほうれん草、チョコ、ナッツ、紅茶など(ビタミンCの過剰摂取も注意) - 柑橘類を積極的に
→ クエン酸が結石をできにくくする(レモン水など)
受診の目安
- 激しい痛みが続く
- 発熱+痛み(感染の疑い)
- 血尿が続く
- 嘔吐で水分が摂れない
→ すぐに泌尿器科へ! 腎機能障害や敗血症のリスクがあります。
豆知識
- 夏に多い → 汗で尿が濃縮されるため
- 家族歴がある人は要注意(遺伝的要因あり)
- 結石が排出されたら成分分析を!再発予防に役立つ
