子宮筋腫の原因、手術(筋腫核出/全摘)と薬物療法について 30代女性の3〜4人に1人!

子宮筋腫は、30〜40代女性の3〜4人に1人が持つとされる非常に一般的な病気です。しかし、「子宮の腫瘍」と聞くと不安になる方も多いでしょう。

子宮筋腫の約50〜70%は無症状で、多くは良性であり、悪性化するリスクも非常にまれです。しかし、月経量が増えたり、激しい生理痛や貧血を引き起こしたりして、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

この記事では、子宮筋腫の原因から、エコーやMRIによる診断、そして「妊娠希望の有無」に応じて選択される薬物療法、筋腫核出術、子宮全摘術といった全治療法をわかりやすく解説します。

症状の有無にかかわらず、子宮筋腫を正しく理解し、ご自身の体と将来に合わせた最適な治療法を選ぶための手助けとなることを目指します。気になる症状がある方、健診で指摘された方は、ぜひお読みください。

1. 子宮筋腫とは?

  • 子宮の筋層(筋肉の部分)にできる良性の腫瘍です。 
  • 悪性(がん)になることは非常にまれ(0.1〜0.2%程度)。 
  • 30〜40代の女性に多く、3〜4人に1人が持っていると言われています。

2. 原因

  • はっきりとした原因は不明ですが、以下の要因が関係しています:
    • 女性ホルモン(エストロゲン):妊娠中やホルモン治療で大きくなりやすい。
    • 遺伝的要因:家族に子宮筋腫があるとリスクが上がる。
    • 人種:特に黒人女性に多い傾向。

3. 症状(ある人・ない人両方います)

症状説明
無症状約50〜70%の人は症状なし。健診で偶然発見されることが多い。
月経異常出血量が多い、月経が長い、貧血
下腹部痛生理痛が強い、性交痛
圧迫症状頻尿、便秘、腰痛(筋腫が大きい場合)
不妊・流産筋腫の位置によっては妊娠に影響

4. 診断方法

  • 超音波検査(エコー):一番簡単で正確。
  • MRI:筋腫の数や位置を詳しく調べる。
  • 子宮鏡検査:粘膜下筋腫を調べる。

5. 治療法(症状や希望に応じて選択)

治療法内容
経過観察症状がなく、閉経間近ならそのまま様子見。閉経後に縮小する。
薬物療法– 低用量ピル:出血を抑える – GnRHアナログ:一時的に閉経状態にして筋腫を縮小(副作用あり) – レルミナ(ウリプリスタール):出血コントロール
手術– 筋腫核出術:筋腫だけ取り除き、子宮は残す(妊娠希望) – 子宮全摘術:子宮ごと摘出(妊娠希望なし) – 子宮鏡下手術:粘膜下筋腫を内視鏡で除去
非手術的治療– 子宮動脈塞栓術(UAE):血流を止めて筋腫を縮小 – 集束超音波治療(FUS):超音波で筋腫を焼く(保険適用外の場合あり)

6. 妊娠との関係

  • ほとんどの場合、妊娠・出産に影響なし
  • 子宮腔内に突き出る筋腫非常に大きい筋腫は流産・早産リスクが上がることも。
  • 妊娠希望がある場合は筋腫核出術が選択肢に。

7. Q&A(よくある質問)

質問回答
放っておいて大丈夫?症状がなければ経過観察でOK。ただし定期検診を。
自然に消える?閉経後にホルモンが減ると縮小・消失することが多い。
食事で予防できる?明確な予防法はないが、野菜・大豆・魚中心の食事がリスク低下と関連(研究段階)。

8. 受診の目安

  • 月経量が急に増えた
  • 生理痛が年々ひどくなった
  • 下腹部にしこりを感じる
  • 貧血でフラフラする

→ 産婦人科を受診してください。
※「子宮筋腫が心配」と伝えるとスムーズです。