
従来のAIチャットに満足していますか?生成された文章をコピペして、別のドキュメントで編集し直す—そんな非効率な作業はもう終わりです。
Google Geminiに搭載された新機能「Canvas(キャンバス)」は、AIが作ったものをその場で直接、自由に編集・修正できる**「リアルタイム共同作業スペース」**です。
Gemini Canvas機能のまとめ
1. Canvasの基本的な定義と目的
| 項目 | 内容 |
| 定義 | Geminiアプリ内で利用できるインタラクティブな作業スペース。 |
| 目的 | AIが生成したテキストやコードを、その場で直接編集・修正し、AIと共同で成果物を練り上げる。従来のチャット形式の効率を飛躍的に高める。 |
Canvas機能の主な特徴
- 生成結果の直接編集: Geminiが生成した文章やコードを、GoogleドキュメントのようにCanvas上でリアルタイムに直接加筆・修正できます。
- AIによる部分的な編集支援: 文章の一部を選択し、「簡潔に」「フォーマルに」といった指示をGeminiに出すことで、選択した部分だけをAIに修正させることができます。これにより、全体の再生成を待つことなく効率的に文章を練り上げられます。
- クイック編集ツール: 「長さの変更」や「トーンの変更」(カジュアル、フォーマルなど)といったショートカット機能も用意されています。
- コードの作成と実行(プレビュー): コードを生成できるだけでなく、Canvas上でコードのプレビュー表示や実行ができるため、その場で動作確認を行えます。ウェブサイトのプロトタイプや簡単なゲーム作成などにも活用できます。
- 書式設定: テキストに太字、斜体、見出し、リスト(箇条書きや番号付き)などの書式を設定できます。
- エクスポートと共有: 作成したコンテンツは、Google ドキュメントなどに簡単にエクスポートしたり、他のユーザーと共有したりできます。
- 自動保存: Canvasでの変更内容は自動的に保存されます。
活用シーン
Canvas機能は、以下のような様々な作業の効率化に役立ちます。
- 文章作成: レポート、ブログ記事、スピーチ原稿などの下書きをGeminiに作成させ、その場でトーンの調整や特定部分のブラッシュアップを行う。
- コーディング: ウェブサイトやアプリのコードを生成させ、コードの動作を確認しながら修正を加える。
- 学習: Deep Researchのレポートを、アプリ、ゲーム、インタラクティブなテストなどに変換して視覚化・パーソナライズする。
Canvasは、文章やコードの生成から編集、確認までを一つの画面で完結させることで、Geminiとの共同作業をよりシームレスで効率的なものにしてくれます。
Geminiアプリから「Canvas」を選択することで利用を開始できます。
2. デザインツール「Canva」との違い
Geminiの「Canvas(キャンバス)」機能と、デザインアプリの「Canva(キャンバ)」は、全く別のサービスです。
名前が似ていて少し紛らわしいですが、それぞれの主な目的と機能は以下のように異なります。
| 特徴 | Gemini Canvas | Canva (キャンバ) |
| 提供元 | Google (Geminiアプリ内機能) | Canva Pty Ltd (デザインプラットフォーム) |
| 主な目的 | AIによる文書・コードの作成と編集、プロトタイピング、学習支援 | グラフィックデザイン、画像・動画の作成、プレゼン資料作成 |
| 主な機能 | * AI生成テキスト・コードの直接編集と部分修正 | * 豊富なテンプレートと素材を使ったデザイン |
| * コードのプレビュー/実行 | * 直感的なドラッグ&ドロップ操作 | |
| * 文章のトーン調整、要約、書式設定 | * SNS画像、チラシ、名刺、動画などの制作 | |
| イメージ | AIと協力して進める**「AI共同作業スペース」** | 誰でも簡単にプロ級のデザインが作れる**「オンラインデザインツール」** |
3. Canvasをオンにした時にできること(主要機能)
Canvasをオンにすると、生成されたコンテンツが大きな編集可能なパネル(Canvasパネル)に表示されます。
- 生成コンテンツの直接編集:
- AI生成内容を、Googleドキュメントのようにリアルタイムで直接加筆・修正できます。
- 書式設定(太字、見出し、リストなど)を直接適用できます。
- AIによる部分的な編集支援:
- 文章の一部を選択し、「簡潔に」「フォーマルに」などと指示することで、選択した部分だけをAIに修正させられます。
- クイック編集ツールで「長さの変更」「トーンの変更」なども簡単に行えます。
- コードのプレビュー・実行:
- 生成されたコード(HTMLなど)をCanvas上でプレビューし、その場で動作を確認・修正できます。
- 形式変換:
- テキストをウェブページ、クイズ、インフォグラフィックなどの多様な形式に変換・出力できます。
4. 活用シーン(議事録・ブログ記事の例)
| 活用シーン | Canvasのメリット | 具体的な操作例 |
| 議事録 | 会議のメモを基に、議事録の構造をAIに作成させ、その場で決定事項やアクションアイテムを手動で追記・整形できる。 | 決定事項を太字にし、アクションアイテムを番号付きリストに設定。 |
| ブログ記事 | 下書きを生成させ、特定の部分だけをAIに指示して「キャッチーに」「フォーマルに」とトーンを調整できる。 | 導入部を選択し、「読者を惹きつける表現に修正して」と指示。 |
議事録の作成を試す
まず、会議の基本情報と目的を与えて、議事録のドラフトを作成させ、内容を整理していきます。
ステップ1: Canvasを起動し、プロンプトを入力
以下のプロンプトをGeminiに入力する際に、Canvas機能をオンにしてください。
プロンプト例: 「Canvasをオンにして。来週のマーケティング戦略会議の議事録を作成してください。会議の目的は『新製品Aのローンチに向けたSNSキャンペーンの具体的な計画を決定すること』です。参加者は山田、佐藤、田中です。特に、キャンペーンのターゲット層と使用プラットフォームの決定を主要な議題としてください。」
ステップ2: 生成された議事録を編集・追記
Geminiが議事録のテンプレート(日付、目的、参加者、議題など)と、議題ごとのスペースを生成します。
- 手動で追記: 会議のメモや決定事項をCanvasに直接入力して追記します。
- AIに編集を依頼: 例えば、「SNSキャンペーンのターゲット層」の項目を選択し、「決定事項と次のアクションアイテムを箇条書きで追加して」と指示を出すことができます。
| 議事録項目(例) | 編集・追記内容 |
| 決定事項 | ターゲット層を『20代のガジェット好き男性』に設定。 |
| アクションアイテム | 田中:ターゲット層に響くクリエイティブ案を3つ作成(期限:金曜日)。 |
| 次回の議題 | 佐藤:広告予算の最終調整。 |
ステップ3: 整形とエクスポート
- 書式設定: 決定事項を太字にしたり、アクションアイテムを番号付きリストにしたりして、見やすく整形します。
- エクスポート: 完成した議事録を、ワンクリックでGoogleドキュメントにエクスポートし、チームメンバーに共有します。
ブログ記事の作成を試す
次に、ブログ記事のアイデアを基に下書きを生成し、トーンや長さを調整して仕上げていきます。
ステップ1: Canvasを起動し、プロンプトを入力
プロンプト例: 「Canvasをオンにして。『初心者でもできるAIツールの活用法』というテーマで、ターゲットをビジネスパーソンにしたブログ記事の構成案と下書きを作成してください。特に「時間の節約」と「クリエイティブな仕事への集中」に焦点を当ててください。」
ステップ2: 生成された下書きをブラッシュアップ
Geminiが記事の見出しと内容のドラフトを生成します。
- 部分修正: 記事の導入部分を選択し、「読者が引き込まれるような、よりキャッチーな表現に修正して」と指示します。
- トーン調整: 特定の段落を選択し、クイック編集ツールで「トーンを変更」を使い、「プロフェッショナル」から「少しカジュアル」に調整します。
- 長さ調整: 「AIツールの具体例」のセクションが短すぎる場合、その部分を選択して「長さを変更」を「長め」に設定し、内容を深掘りさせます。
ステップ3: 最終チェックと仕上げ
- 見出しの調整: 見出しのレベル(h1, h2など)をGoogleドキュメントのように設定し、読みやすい構造にします。
- 最終的な手動編集: 独自の事例やデータを直接追記し、記事を完成させます。
