
脳梗塞は一つではなく、発症メカニズムによって**「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」**の3つに大きく分類され、それぞれ原因や治療法、そして再発予防の対策が異なります。
脳梗塞の原因と種類
| 種類(頻度) | 正式名称 | どんな仕組みで起きるか | 主な原因・危険因子 | 好発年齢・特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 1. ラクナ梗塞 (約25〜35%) | 小血管閉塞性梗塞 | 脳の奥にある直径0.2〜1.5mmの細い穿通枝動脈が完全に詰まる | ・長年の高血圧 ・糖尿病 ・喫煙・加齢 | 50〜70代に多い 「純粋運動障害」「純粋感覚障害」「感覚運動障害」など典型症状が出やすい |
| 2. アテローム血栓性脳梗塞 (約25〜35%) | 大血管アテローム硬化性梗塞 | 頸動脈や脳底動脈など太い動脈の壁にアテロームができて ① そこで直接詰まる ② プラークが崩れて細い血管に詰まる | ・動脈硬化の危険因子全部 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、加齢 ・頸動脈狭窄症が有名 | 60代以降に多い 広範囲の梗塞になりやすく重症化しやすい |
| 3. 心原性脳塞栓症 (約25〜35%) | 心臓由来の塞栓症 | 心臓(特に左心房)の中でできた血栓がポロッと剥がれて脳の血管に飛んで詰まる 詰まる場所は予測不能 | ・心房細動 ・心筋梗塞後 ・弁膜症 ・心不全、感染性心内膜炎など | 年齢幅広い 突然発症、重症化しやすい、再発率高い |
| 4. その他・分類不能(約5〜10%) | – | ・解離性動脈瘤 ・血管炎 ・血液凝固異常 ・静脈血栓が奇静脈を通って脳に飛ぶ | 若い人に多い原因がここに隠れていることが多い | 20〜40代でも発症あり |
各種類の比較表(一目でわかる)
| 項目 | ラクナ梗塞 | アテローム血栓性 | 心原性脳塞栓症 |
|---|---|---|---|
| 発症の仕方 | 徐々に進むことが多い | 階段状に悪化(数時間〜数日) | 突然最大になる |
| 意識障害 | ほとんどない | ときどきある | よくある |
| 詰まる血管 | 細い穿通枝 | 太い動脈+末梢 | 中〜太い動脈(予測不能) |
| 再発予防薬 | 抗血小板薬 | 抗血小板薬+スタチン | 抗凝固薬(ワルファリン・DOAC) |
| 最も重要な危険因子 | 高血圧 | 動脈硬化 | 心房細動 |
| 画像所見 | 小さな梗塞(1.5cm以下) | 大きいor複数 | 複数領域に散在 |
若い人(50歳未満)の脳梗塞の原因ランキング(最近のデータ)
- 心原性塞栓(心房細動・卵円孔開存)
- 動脈解離(頸動脈・椎骨動脈)
- 血液凝固異常症
- 血管炎・膠原病
- ラクナ・アテロームは少ない
まとめ
- 「高血圧が長年ある人」→ ラクナ梗塞
- 「生活習慣病が複数ある人」→ アテローム血栓性
- 「心房細動がある人」→ 心原性脳塞栓症
