
脳出血は、脳卒中の中で約20〜25%を占める非常に重篤な疾患であり、命に関わるだけでなく、重い後遺症を残すリスクがあります。この病気は主に高血圧によって引き起こされ、出血した部位(被殻、視床、小脳など)によって現れる症状が大きく異なります。
脳出血の主な種類(発生場所による分類)
| 種類 | 発生場所 | 頻度 | 特徴・原因の傾向 |
|---|---|---|---|
| 被殻出血 | 大脳の奥(被殻・視床周辺) | 一番多い(約50%) | 高血圧が原因のことが多い |
| 視床出血 | 視床(感覚や意識に関係) | 多い | 感覚障害や意識障害が出やすい |
| 皮質下出血 | 大脳の表面近く | やや多い | 脳動静脈奇形やアミロイド血管症が多い |
| 小脳出血 | 小脳 | 5-10% | 頭痛・めまい・歩行障害が急に出る |
| 脳幹出血 | 脳幹(橋・延髄) | 少ない | 重症化しやすく死亡率が高い |
| クモ膜下出血 | 脳の表面(クモ膜下腔) | ※脳出血とは区別されることが多い | 脳動脈瘤の破裂がほとんど |
※現在は「クモ膜下出血」は脳出血とは別のカテゴリー(脳卒中のひとつ)として扱われることが多いです。
主な原因・危険因子
- 高血圧(一番多い原因、特に50〜70歳代)
- 脳動脈瘤の破裂
- 脳動静脈奇形(特に若い人)
- 脳アミロイド血管症(高齢者に多い)
- 抗凝固薬・抗血小板薬の内服(ワーファリン、リクシアナ、アスピリンなど)
- アルコール多量摂取
- 脳腫瘍からの出血、頭部外傷など
よくある症状(急に起こります!)
- 突然の激しい頭痛(「今まで経験したことない頭痛」)
- 吐き気・嘔吐
- 手足の麻痺・しびれ(片側が多い)
- 言葉が出にくい・理解できない
- 意識がもうろうとする〜昏睡
- 目が二重に見える、ものがゆがむ
- 歩けない、ふらつく
→ これらの症状が急に起きたら、すぐに救急車を呼んでください!(時間との勝負です)
治療の基本
- 急性期(発症直後〜数日)
- 血圧管理(高すぎても低すぎてもダメ)
- 脳の腫れ(脳浮腫)を抑える薬
- 必要に応じて人工呼吸器
- 出血が大きく命に関わる場合は緊急手術(開頭血腫除去術や脳室ドレナージ)
- 回復期・リハビリ期
- なるべく早い時期からリハビリ開始(寝たきり予防)
- 麻痺や言語障害に対する専門リハビリ
再発予防のために大事なこと
- 血圧をしっかり下げる(目標は130/80未満が目安)
- 禁煙・節酒
- 抗凝固薬・抗血小板薬は医師の指示を守る
- 定期的に脳ドックやMRIを受ける(特に家族に脳出血・クモ膜下出血がいる場合)
まとめ
「突然の激しい頭痛+手足の麻痺や意識障害」が出たらすぐに119番!
そして普段から血圧をしっかり管理することが一番の予防です。何か気になる症状があったり、家族に脳出血の方がいる場合は、遠慮なく脳神経外科や神経内科を受診してくださいね。
