
クモ膜下出血(SAH)は、発症からわずか数分間の間に、その後の予後が決定してしまう極めて危険な疾患です。その症状は劇的で、**「今までに経験したことのない最強の頭痛」が患者さんのほぼ100%**に出現します。
クモ膜下出血(SAH)の症状 時間経過ごとに超わかりやすく
| タイミング | 症状(ほぼ100%出る) | 症状(よく出る(50〜80%) | 稀だけど超危険サイン(出たら即死レベル) |
|---|---|---|---|
| 発症0〜1分 | 今までに経験したことのない最強頭痛 ハンマーで後頭部を殴られたような痛み | 一瞬意識を失う(数秒〜数分) 嘔吐(噴水みたいに) | 突然倒れて呼吸停止 |
| 発症1〜30分 | 頭痛がピーク(10段階で10) | 首が硬くなる(首を曲げられない) 光がまぶしい | けいれん発作 |
| 発症1〜6時間 | 頭痛は少し落ち着くがまだ激痛 | ぼーっとする、呼びかけに反応鈍い 手足が少し動かしにくい | 再び意識消失 → 再出血 |
| 発症6〜24時間 | 頭痛がまた強くなる人も | 首の後ろが板のように硬い(項部硬直) | 急に眠ったように意識がなくなる |
| 発症3〜14日目 | 頭痛はマシになるが急にまた激痛(血管れん縮) | 片麻痺、言葉が出ない、眠気強くなる | 突然の意識障害 → 脳梗塞 |
| 発症2週間〜1ヶ月 | 頭痛はほぼなくなる | ぼーっとする、記憶が飛ぶ、水頭症でふらつく | 急に眠って戻らない → 水頭症 |
家族が「これが出たら即119番!」と覚えるべき5大症状
| 順位 | 症状 | 出現率 | 言われたら絶対に「様子見」しないで! |
|---|---|---|---|
| 1 | 「今までで一番ひどい頭痛」「バットで殴られた」 | 95% | 1位でこれだけでも99%クモ膜下出血 |
| 2 | 突然の嘔吐(特に噴水みたいに) | 70% | 頭痛+嘔吐はほぼ確定 |
| 3 | 一瞬でも意識を失った | 50% | たとえすぐに戻っても危険 |
| 4 | 首が硬くて前に曲げられない | 80% | 6時間後くらいから出やすい |
| 5 | 光がまぶしくて目が開けられない | 60% | めったに出ない頭痛薬では効かない |
実はクモ膜下出血じゃないのに似ている病気(鑑別)
| 病気 | 頭痛の強さ | 意識消失 | 首の硬直 | CTで出血が見えるか |
|---|---|---|---|---|
| クモ膜下出血 | ★★★★★ | よくある | よくある | 99%見える |
| 片頭痛 | ★★★☆☆ | ない | ない | 見えない |
| 群発頭痛 | ★★★★★ | ない | ない | 見えない |
| 雷鳴頭痛(初発片頭痛) | ★★★★★ | まれ | ない | 見えない |
| 脳出血(被殻・視床) | ★★★★☆ | まれ | まれ | 見えるが場所が違う |
→ だから「最強頭痛」が出たら、まずは頭部CTを撮ってもらうのが鉄則です(5分で診断できます)。
