
「無料で付けられるから安心」—多くの方がそう考えるリビング・ニーズ特約ですが、本当に必要な時に確実に保険金を受け取るためには、加入時と請求時の条件を正しく理解しておく必要があります。
この特約は、死亡保険に健康告知なしで付加でき、古い契約にも後から追加できる高い柔軟性が魅力です。しかし、実際に生前給付を受ける際の**「余命6ヶ月以内」という発動条件、3親等内の親族による代理請求、そして請求額に応じた利子の差し引きなど、クリアすべき厳格な審査プロセス**が存在します。
1. 付加条件(特約を加入するための要件)
この特約は無料で付加可能ですが、主契約の死亡保障に限定されます。加入は契約時または中途(途中追加)で可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象主契約 | 死亡保険金が支払われる定期保険、終身保険、収入保障保険など(医療保険やがん保険は不可) |
| 付加可能年齢 | 被保険者の加入時年齢(例: 0〜80歳程度、会社による) |
| 付加料率 | 無料(自動付加の商品も多い) |
| 中途付加 | 可能(契約後、書類提出で追加。古い契約でも対応可) |
| 制限 | 一部のネット生保(例: ライフネット生命)で付加不可の場合あり |
| 必要書類 | 申込書のみ(健康告知不要) |
- ポイント: 加入自体に健康状態の審査は不要。契約時に付け忘れても、後から追加できる会社がほとんどです。
2. 請求条件(給付を受け取るための要件)
余命宣告が核心で、原因(病気・事故問わず)は制限なし。請求は被保険者本人が原則ですが、3親等内の親族が代理可能。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発動条件 | 医師により「余命6ヶ月以内」と診断(診断書必須。重度疾患によるものに限る) |
| 請求可能金額 | 死亡保険金の全部または一部(上限: 3,000万円〜5,000万円程度、会社による) |
| 請求回数 | 1契約につき1回のみ(分割不可) |
| 請求期限 | 診断後速やかに(会社により1年以内など制限あり) |
| 請求人 | 被保険者本人が原則。代理: 3親等内の親族(配偶者・子・親など) |
| 保険契約への影響 | 請求額分だけ死亡保険金が減額(契約は継続) |
- ポイント: 余命6ヶ月を超過しても追加請求不可(再診断が必要)。死亡保障満期1年以内だと請求不可の場合あり。
3. 審査の流れ(請求から支払いまで)
審査は診断書の信ぴょう性を中心に、比較的迅速(1〜2ヶ月程度)。事前相談を推奨。
| ステップ | 詳細 |
|---|---|
| 1. 診断受領 | 医師から余命6ヶ月以内の診断書を取得 |
| 2. 請求書類準備 | 請求書、診断書、身分証明書、銀行口座情報、契約書類(会社指定) |
| 3. 請求提出 | 保険会社へ郵送または窓口提出(コールセンター相談可) |
| 4. 審査実施 | 診断書の真正性確認、契約内容照合(健康状態の再告知不要) |
| 5. 支払い実行 | 承認後、請求額から6ヶ月分利子(年6%相当)を差し引いて振込(1〜2週間) |
| 6. 事後手続き | 死亡保険金減額通知、特約消滅(保険料調整) |
- 審査のポイント:
- 審査基準: 診断書の医師資格・内容の妥当性。詐欺防止のため、偽造は厳禁(罰則あり)。
- 所要時間: 書類完備で1ヶ月以内が目安。遅延時は会社に問い合わせ。
- 拒否ケース: 診断不十分、請求期限超過、契約に特約なしなど。
- 利子差し引き例: 3,000万円請求時、6ヶ月利子(約90万円)引かれて約2,910万円受取。
注意点
- 税務: 生前給付金は非課税(雑所得扱い)だが、死亡時に残額は相続税対象(非課税枠なし)。使い切るのが理想。
- デメリット: 家族の死亡保険金が減る、1回限り。
- 活用Tips: 加入時は自動付加を確認。請求時は家族と相談を。

