
介護保険サービスを利用するための第一歩である要介護認定は、その後の生活の質(QOL)と経済的な負担を大きく左右します。しかし、**「原則30日以内」**の審査期間や、74項目に及ぶ詳細な訪問調査プロセスは、初めて申請する方にとって複雑で分かりにくいものです。
本記事では、2025年現在の最新基準に基づき、要介護認定の全てを徹底解説します。65歳以上と40〜64歳(特定疾病)の対象者の違いから、要支援1から要介護5までの7段階のレベル別目安、そして申請から二次判定に至るまでの全6ステップを明確に示します。
特に重要な訪問調査については、調査員に正確な状態を理解してもらうための**「特記事項にしっかり書く」といった実務的なコツを紹介。遠慮せず、ありのままの生活の困難さを伝えることが、適切な認定を受けるための「一番の近道」**であることをお伝えします。
要介護認定の超詳細まとめ(2025年最新版)
| 項目 | 詳細内容(2025年現在) |
|---|---|
| 誰が受けられるか | ・65歳以上の人(原因問わず) ・40〜64歳の人 → 「特定疾病」16疾患に限る(末期がん、関節リウマチ、初老期認知症など) |
| 認定レベル(7段階) | 非該当 → 要支援1 → 要支援2 → 要介護1 → 要介護2 → 要介護3 → 要介護4 → 要介護5 |
| 各レベルの目安(2025年基準) | |
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自立。部分的に支援が必要(週1〜2回のデイサービス程度) |
| 要支援2 | 生活に一部介助が必要。見守りや軽い家事支援が必要(週3〜4回程度) |
| 要介護1 | 部分介助が必要。立ち上がり・歩行に不安定さあり(1日1〜2時間サービス) |
| 要介護2 | 全面的な介助が必要な行為が出始める(排泄・入浴に一部介助) |
| 要介護3 | 日常生活の多くに介助が必要。寝たきりに近い状態も(1日3〜5時間サービス) |
| 要介護4 | ほぼ全介助。意思疎通も困難な場合あり |
| 要介護5 | 寝たきり+高度な医療的ケアが必要(終日介護) |
| 申請から認定までの標準日数 | 原則30日以内(最短14日、最長60日超も稀にあり) |
| 必要書類 | ① 申請書(市区町村の窓口・ホームページで入手) ② 介護保険被保険者証 ③ 主治医の意見書(市区町村が依頼) ④ マイナンバーまたは身分証明書 |
| 実際の流れ(ステップ別) | |
| 1. 申請 | 市区町村窓口・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所で可 |
| 2. 訪問調査(認定調査) | 調査員(介護支援専門員など)が自宅・施設・病院に訪問 74項目(+特記事項12項目)を調査 所要時間:約60〜90分 |
| 3. 主治医意見書 | 市区町村が指定医に依頼(本人負担なし) |
| 4. 一次判定 | コンピュータで全国一律の基準で自動判定 |
| 5. 二次判定(介護認定審査会) | 医師・保健師・介護の専門家6名程度で会議 一次判定+訪問調査+主治医意見書+特記事項を総合判断 |
| 6. 結果通知 | 認定結果+理由+有効期間が記載された「認定結果通知書」が届く |
| 有効期間 | 新規:原則12ヶ月 更新:12〜48ヶ月(状態が安定していると長くなる) |
| 区分変更申請 | 状態が急変したらいつでも再申請可能(結果が出るまで前の認定が継続) |
| 2025年現在の変更点 | ・調査項目74→79項目に微調整(認知症・精神症状の評価強化) ・オンライン申請対応市区町村が9割超に |
| 認定率(全国平均 2024年度) | 65歳以上の約18.8%が要介護・要支援認定(約690万人) |
| 非該当になった場合 | 市区町村の「介護予防・生活支援サービス事業」(軽度者向け総合事業)が利用可能 |
認定されやすくなるコツ(実務でよく言われるポイント)
| ポイント | 具体例 |
|---|---|
| 特記事項にしっかり書く | 「夜間2〜3回徘徊」「1人で外出して迷子になる」「食事の後片付けができない」など |
| 訪問調査時に実際の状態を見せる | 普段通りでOK。無理に悪く見せる必要なし(逆に不自然だと疑われる) |
| 認知症は診断名+症状を明確に | 「アルツハイマー型認知症+BPSDで暴言・徘徊あり」など |
| 家族が同席して補足説明 | 調査員が見落としがちな日常の困りごとをしっかり伝える |
要介護認定は「その人の生活全体を見る」仕組みです。
遠慮せず、ありのままの状態を伝えることが一番の近道です!
保険の相談や見直しについては保険の相談窓口から相談を。
