
世界各国の精神疾患の患者数については、WHO(世界保健機関)やIHME(保健指標評価研究所)などが統計を取っています。
ただし、このランキングを見る際には注意が必要です。先進国ほど「診断を受ける環境が整っている」「メンタルヘルスの偏見が少なく受診率が高い」ため、数字が大きく出やすいという側面があります。
最新(2026年予測データ含む)の統計に基づく、有病率(人口10万人あたりの患者数)が高い国々の傾向をまとめました。
精神疾患の世界ランキングの測定方法について
世界ランキングには主に2つの測り方があります。
- 「有病率(%)」ランキング
- 内容: 全人口のうち、何%が精神疾患を抱えているか。
- 日本の位置: 中位(40位前後)。
- 特徴: 診断基準が厳しい国や、受診率が低い国(日本など)は、実際より数字が低く出やすいです。
- 「患者数(実数)」ランキング
- 内容: その国に何人の患者がいるか。
- 日本の位置: 世界トップクラス(アジア2位など)。
- 特徴: 人口が多い国ほど上位に来ます。日本は人口が多く、かつ高齢化が進んでいるため、うつ病や認知症の「人数」で見ると非常に多くなります。
日本を含めた最新の「有病率」ランキング(2025-2026年予測値含む)
人口に対する「割合」で比較した場合の、日本と世界の立ち位置です。
| 順位 | 国名 | 有病率(推定) | 日本との比較・傾向 |
| 1位 | オランダ | 約19% | 診断の一般化が進んでいる世界トップの数値。 |
| 2位 | ポルトガル | 約18% | 経済・社会不安による高いストレス。 |
| 3位 | オーストラリア | 約18% | メンタルヘルス先進国。早期発見が非常に多い。 |
| 10位 | アメリカ | 約17% | 不安障害が非常に多く、社会問題化している。 |
| 27位 | イギリス | 約14% | 若年層の不調が急増中。 |
| 38位 | 日本 | 約12% | アジアでは高いが、欧米より「受診率」が低いためこの位置。 |
| 50位〜 | 韓国 | 約11% | 日本と似た傾向。競争は激しいが受診の壁が高い。 |
日本の順位が「低め」に見える本当の理由
日本が欧米に比べて順位が低く(12%程度)出るのは、健康だからというよりも「病院に行っていない人が多い」からだという分析が一般的です。
- 受診の壁: 欧米では「カウンセリングに行くのはジムに行くようなもの」という感覚がありますが、日本ではまだ「精神科=よほど深刻な状態」というイメージが強く、統計に現れない「潜在的な患者」が多いとされています。
- 高齢化の影響: 日本が世界1位になるのは「認知症」の有病率です。これを「精神疾患」に含めるかどうかで、日本の順位は跳ね上がります。
まとめ:ランキングの見方
- 先進国(欧米)が上位なのは: 「心の不調は病気だ」という認識が広まり、積極的に診断・治療している証拠。
- 日本が中位なのは: 実際には多くの人が悩んでいるが、まだ「我慢」や「未受診」が多く、数字に表れきっていない状態。
順位が低いからといって、日本人がメンタルに強いわけではありません。むしろ「27位のイギリス」や「10位のアメリカ」のように、「悩むのは普通のこと」として順位が上がっていく(=受診しやすくなる)ことが、今の日本のメンタルヘルスにおける課題だと言えます。
