
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus:呼吸器合胞体ウイルス)感染症に関連するけいれんについて、日本小児科学会・厚生労働省・CDC・国際論文(PMCなど)基準(2025年時点)に基づいて詳しくまとめたものです。
RSウイルスは主に乳幼児の呼吸器感染を引き起こしますが、高熱を伴うため熱性けいれんの原因となりやすく、まれに重症の神経症状(脳症など)を伴うけいれんが発生します。
1. RSウイルスとけいれんの関係(なぜ起こる?)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 主な原因 | RSウイルス感染による**高熱(38〜39℃)**が脳を刺激 → 熱性けいれん(6ヶ月〜5歳で90%)。RSは風邪様症状から始まり、熱が急上昇しやすい。 |
| 頻度 | – 乳幼児のRS感染者の**1〜7%で神経症状(けいれん含む)。 – 熱性けいれん全体の10〜20%がRS関連(インフルエンザに次ぐ)。 – 韓国研究(2011-2016):RSV入院児の2%**でけいれん。 |
| 種類 | – 熱性けいれん(単純型):短時間(5分以内)、全身性。95%がこれ。 – 複雑型/非熱性けいれん:15分超、片側性、脳症合併(5%)。RSでは低ナトリウム血症(脱水)が引き金に。 |
| リスク因子 | – 生後6ヶ月未満:重症化率高(肺炎+けいれん)。 – 基礎疾患(心臓病、早産、ダウン症)。 – 家族歴(熱性けいれん)。 – 初感染時(2歳までにほぼ100%感染)。 |
| メカニズム | ウイルスが脳に直接侵入(CSFから検出例あり)or サイトカイン過剰反応。脳幹感染で呼吸停止も。 |
ポイント: RSは**秋〜冬(近年は夏も)に流行。熱性けいれんは発症後2〜8日(潜伏4〜6日)**にピーク。無症状感染者からうつりやすい。
2. 症状の特徴(RS特有のサイン)
| 症状 | 詳細・注意点 |
|---|---|
| 初期(風邪様) | 鼻水・咳・微熱(1〜3日)。これで油断すると熱急上昇。 |
| けいれん前兆 | – 熱が38.5℃超で急変。 – ぐったり、嘔吐、呼吸苦(RSの肺炎合併)。 – 低ナトリウム(口渇・おしっこ減少)で非熱性けいれん。 |
| けいれん時 | – 全身ピクピク(グランドマル型)。 – 15分超でステータス(持続けいれん)。 – 合併:呼吸停止、チアノーゼ(唇青紫)。 |
| 後遺症リスク | – 単純型:ほぼゼロ(知能影響なし)。 – 複雑型:てんかん移行1%未満、学習障害(動物実験で脳海馬影響)。死亡率0.5〜1%(重症脳症)。 |
メタアナリシス(2022): RSV感染で熱性けいれんリスクインフルエンザの1.5倍。
3. 対処法(けいれん発生時!)
| ステップ | 具体的な行動(RS特化) | 理由 |
|---|---|---|
| ① 時間記録 | スマホで秒単位で開始時刻メモ。 | 5分超で救急(RSでは脳症リスク高)。 |
| ② 安全確保 | – 床に横向き(回復体位)。 – 頭下げる(タオル)。 – 周囲の物除去。 | 誤嚥防止(RSの鼻水・痰多め)。 |
| ③ 即対応 | – 5分以内:ダイアップ座薬(0.2mg/kg、事前処方)。 – 解熱(カロナール座薬)。 – 呼吸チェック(RSで肺炎合併)。 | 熱下げが鍵。RS治療薬なし(対症療法)。 |
| ④ 119判断 | 5分超/呼吸苦/2回目/意識戻らず → 即119。 | RS脳症で低酸素脳症リスク。 |
| ⑤ 終了後 | – 冷却(脇・首)。 – 水分補給(ORS、少量頻回)。 – 病院でRS迅速検査+脳波。 | 脱水防止(RSの嘔吐・下痢)。 |
絶対NG: 口に物入れ/揺さぶり。RSでは酸素飽和度も監視。
【子どもの熱性けいれん】5分超えたら119番!概要と対処フローについて
4. 病院・治療の流れ(RS関連)
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 救急受診 | RS迅速抗原検査(鼻汁)。けいれん止血(ミダゾラム点鼻)。 |
| 入院判断 | 複雑型/乳児/呼吸苦 → ほぼ入院(酸素・点滴)。 |
| 治療 | – 抗けいれん薬(フェノバルビタール)。 – RS対症:吸入(気管支拡張)、解熱。 – 低ナトリウム修正(Na補正)。 |
| 検査 | 脳MRI(DWI変化確認)、髄液(RSV検出)。 |
予後: 66%完全回復、27%部分回復、7%死亡(重症例)。
5. 予防・再発防止(RS特化)
| 対策 | 具体例 |
|---|---|
| ワクチン | – シナジス(パリビズマブ):生後6ヶ月未満高リスク児(月1注射、10月〜3月)。 – アレックスビー(2024年日本承認):高齢者/乳児用モノクローナル抗体。 |
| 熱管理 | 38℃超で即解熱剤。体温1日3回測定。 |
| 感染防止 | 手洗い・マスク・換気。流行期(夏〜冬)は保育園注意。兄弟隔離。 |
| 準備 | ダイアップ常備。家族教育(「5分ルール」)。 |
| フォロー | けいれん後1ヶ月脳波検査。母子手帳記載。 |
2025年流行予測: 夏ピーク継続。乳幼児家庭は**#8000(小児救急電話)**活用。
まとめタイムライン(RS感染=Day 0)
Day 0〜2:潜伏(感染)
↓
Day 3〜6:熱・咳ピーク → けいれん警戒(熱急変)
↓
Day 7〜10:呼吸悪化? → 肺炎+複雑けいれんリスク
↓
Day 11〜:回復(けいれん再発低)
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