Sora 2の使い方やプロンプトのコツについて

Sora 2で意図した高品質な動画を生成するためには、単にキーワードを並べるのではなく、映画制作の絵コンテや撮影指示書を作成する感覚でプロンプトを構造化することが極めて重要です。

Sora 2は、初代よりも物理法則やプロンプトへの追従性が向上しているため、詳細な指示がそのままクオリティに直結します。

ここでは、Sora 2で使えるプロンプトの構成要素と、効果的な書き方のコツをまとめます。


1. プロンプトの基本構成要素

高品質な動画を生成するためには、以下の要素を明確に指示すると効果的です。これらをレイヤー化して(分けて)考えるのがコツです。

構成要素役割記述例
主語/被写体動画の中心となる人物、動物、物体。詳細な見た目も記述。「黒いスーツを着た30代のビジネスマン」「毛並みが濡れたゴールデンレトリバー」
場所/背景舞台となる場所、時間帯、天候。「夕暮れの東京・渋谷スクランブル交差点」「朝霧のかかる日本の竹林」「雪に覆われた山頂」
アクション/動き被写体の具体的な動作、速度、アニメーション。Sora 2の物理シミュレーションの強みを活かす。「ゆっくりと振り返る」「水面を飛び跳ねる」「重力に従ってボールがバウンドする」
カメラワーク視点、画角、カメラの動き。映画用語を使うと高精度になりやすい。「ローアングル(Low Angle)」「ドローン視点(Drone View)」「ズームイン(Zoom In)」「スローモーション(Slow Motion)」
スタイル/画質映像の質感、色調、レンズの種類。「シネマティック(Cinematic)」「16mmフィルム風」「HDR」「水彩画のようなタッチ」
音声(重要)動画に付随させる音。Sora 2の最大の進化点。「着地時の衝撃音」「コンクリートに足が当たる音」「風の音と波の音」「遠くで聞こえるジャズ」

2. 高品質動画を作るためのプロンプトのコツ

1. 冒頭で「骨格」と「スタイル」を定義する

プロンプトの最初の1文で、映像全体のトーンと中心となる被写体を決めてしまいましょう。

  • 悪い例: 猫が家の中を歩く動画
  • 良い例: 1970年代の白黒フィルム調の映像。毛並みの長いシャム猫が、静かな部屋の廊下をゆっくりと歩いている。

2. 「描写的な言葉」でリアリティを出す

「美しい」「すごい」といった曖昧な形容詞ではなく、視覚に訴えかける具体的な情景を記述します。

  • 悪い例: 夜の街の美しい景色
  • 良い例: 濡れたアスファルト、横断歩道、水たまりに反射するネオンサイン。雨が降った後の、湿った空気を感じさせる景色。

3. 長尺動画は「分割」を前提とする

Sora 2は長尺に対応していますが、1つのプロンプトで20秒全体を詳細に制御するのは難しくなります。

  • コツ: 3〜6秒の短いクリップ(1シーン=1プロンプト)を複数生成し、後から動画編集ソフトで繋ぎ合わせる(マルチカット戦略)方が、一貫性を保ちやすくなります。
  • Storyboard機能(Pro版など):提供されている場合は、この分割したシーンごとに指示を出すと精度が向上します。

4. 動きは「動詞」で具体的に分解する

被写体の動作は、分解して指示するほど正確になります。

  • 悪い例: 男性が窓辺でタバコを吸う
  • 良い例: 男性がゆっくりと窓まで4歩歩き、立ち止まり、一息ついてから窓の外を見る。手元のタバコの煙が静かに立ち上る

5. 著作権・肖像権の固有名詞は避ける

既存のキャラクター、ブランド名、著名人の名前を直接使用すると、警告を受けたり、著作権侵害のリスクが高まります。

  • 避けるべき例: 「ピカチュウ」「コカ・コーラのボトル」「トム・クルーズに似た男」
  • 代替案: 「丸い黄色いネズミのキャラクター」「赤いラベルのガラスボトル」「革ジャンを着た、日焼けした50代の男性」

6. リミックス機能の活用

気に入った動画が生成されたら、それを基点として(リファレンス画像や動画として)プロンプトの指示を微修正し、再生成(リミックス)することで、試行錯誤の効率を上げることができます。